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大熊茜の62分のアシスト――WSLヴィラ対リヴァプール2-1、8セーブも忘れたくない

10月18日のWSLアストン・ヴィラ対リヴァプール。コーナーキックをしのいだ大熊茜が、前線で走るグラントへ長いボールを送った。終盤の追加時間にも相手のシュートが飛んでくる中、勝利を待つ気持ちはどう変わったのか。WSL公式は、得点につながったあのボールのどこをほめていたのだろう。

前線へ長いボールを蹴るゴールキーパーと、その先を走る味方を後ろから描いたイラスト。
イラスト: OpenAI

大熊茜が自分のゴール前から蹴った一本が、相手ゴールでの同点弾につながりました。相手のコーナーキック(ピッチの隅から蹴るプレー)をしのいだ直後でした。リヴァプール公式

ついさっきまで相手の攻撃を見ていたのに、もう味方の得点を喜んでいる。この切り替わりには、びっくりしました。

10月18日のWSL(イングランドの女子1部リーグ)第6節は、アストン・ヴィラが2-1で逆転勝ち。今季リーグ初勝利となりました。WSL公式

華やかな一本に目を奪われたぶん、その前後の守備も一緒に振り返りたくなりました。同点に追いつくまで、そして逆転してから、大熊はどんなプレーでゴールを守っていたんだろう。

62分、大熊のキックとグラントの仕上げ

この同点弾で私の心に残ったのは、大熊の長いパスと、走り込んだ味方のグラントの仕上げがつながったところです。大熊が蹴ってから得点まで、順に追ってみます。

舞台はキーズ・パーク。ヴィラが0-1で追っていた62分に、同点ゴールが生まれます。リヴァプールのコーナーキックのあと、大熊が前線へ長いボールを送り、グラントが走って追いつきました。WSL公式、リヴァプール公式

そこからグラントは右側からシュートを放ち、ゴール左上へ決めました。WSL公式

大熊のキックがあそこまで届いたことに驚きましたが、私はグラントが走り込んで決め切ったところにもしびれました。ボールの行方を追っていた目が、そのままシュートへ引きつけられる感じ。最後の一蹴りに「よく決めたなあ」と、思わず拍手を送りたくなりました。

これでようやく1-1。喜んだあとで、ここまで0-1のまま耐えていた時間を思い出しました。ゴールを喜ぶ気持ちに、ほっとした気持ちも重なっていた気がします。その理由をたどるために、ここで前半へ少し戻ります。

16分の失点から、0-1で折り返すまで

前半を振り返ると、あの同点弾がうれしかった理由が、私にはもう少しはっきりします。リヴァプールに押され、なかなか攻め返せなかった時間がありました。

16分、長野風花のパスを受けたナタリア・ラモスが前へ進み、ゴールから離れた位置でシュートを放ち、先制点を決めました。リヴァプール公式、WSL公式

日本人選手を追っている私は、長野のパスにも目が向きました。ヴィラが先に点を取られたのは悔しいけれど、長野が得点につながるパスを出したことはうれしい。ラモスのシュートにも思わず感心して、少し気持ちが忙しくなる場面でした。

前半のシュート数はリヴァプールの11本に対し、ヴィラは2本。リヴァプールは、ゴールの枠をとらえたシュートも6本ありました。WSL公式

大熊は32分、エンダービーがペナルティーエリア(ゴール前の大きな四角い区域)の外から放った左足のシュートを止めています。43分には、カポクスが頭で合わせたシュートもセーブしました。Sky Sports試合記録 前半はラモスの1得点にとどまり、ヴィラの0-1で折り返しました。リヴァプール公式

もっと攻め返してほしい、と思うもどかしさはありました。それでも、何本もゴールへ飛んでくる中で、よく1失点にとどめたなあと感じます。だから後半に追いついたときは、喜びと一緒に緊張がほどけるようでした。あの1点を待っていた気持ちは、この前半から続いていたんだと思います。

2022年3月以来の記録と、送り先を見つける判断

手袋とボールのそばから伸びた金色の糸が、三つの木製コマの一つにつながる概念画。 パスの送り先を選ぶ判断を金色の糸で表したAI生成イラスト(実際の試合場面ではありません)。

WSL公式がパスの送り先を見つけた判断まで評価していたことに、私は胸が弾みました。

WSL公式によると、大熊は2022年3月のチェルシーのゼシラ・ムソヴィッチ以来、WSLで初めてアシストを記録したゴールキーパーになりました。WSL公式『Matchweek 6 in numbers』

ゴールキーパーが得点につながる最後のパスを出す。その記録に「そんなに久しぶりなんだ」と目を丸くしました。公式の記事には、このパスを評した一節がありました。

a brilliantly spotted ball over the top. (訳)送り先を見事に見つけた、相手の頭上を越すボール。

— WSL公式(2026年10月20日)

飛距離に加えて、どこへ送るかを評価する言葉に「そうそう!」とうなずきました。大熊が何を考えていたかは言い切れませんが、ボールの届く先へグラントが走り込んでいたところに、私も面白さを感じます。

72分の逆転、その後も続いた大熊の仕事

アシストを喜んだあとにも、大熊の守備は続いていました。私が初勝利の喜びと一緒に覚えておきたいのは、逆転してからも、終盤までシュートを止めた姿です。

72分、デランドのコーナーキックがリヴァプールのフィスクに当たり、リヴァプールのゴールへ入りました。フィスクのオウンゴールとなり、ヴィラが2-1と逆転します。リヴァプール公式、WSL公式

その後、大熊は80分にカポクスが頭で合わせたシュートを止めました。後半の追加時間に入った90+3分には、エンデマンのシュートも防いでいます。Sky Sports試合記録

大熊は最初から最後まで出場し、この試合で8本のシュートを止めました。FotMob出場記録、WSL公式 リヴァプールの長野風花は86分まで出場し、板村真央と交代しています。リヴァプール公式

90+3分にも相手のシュートがあったことを思うと、逆転してからも気を抜けない時間だったと感じます。同点弾で高まった気持ちに、最後までリードを守り切った安堵も重なる。試合が終わってから、ようやく初勝利をゆっくり喜べる感じがしました。

次の試合では、終盤のシュートに大熊がどう対応するかも、じっくり見たいです。今回の90+3分のセーブを思い返すと、最後の笛まで目が離せません。試合の終わりまで頼もしさを感じられることも、大熊を追う楽しみになりました。

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