中3日の連戦、監督はどれくらいメンバーを入れ替える?
試合が続くと、「次はメンバーを大きく替えるかも」と気になりますよね。2024年以降の出場記録から、日程が詰まったときの顔ぶれの変化と、「前回替えなかったから次は替える」という読みが合っているかを確かめました。
リーグ戦の間にルヴァン杯が入り、中3日でもう次の試合。そんな週は、「今節はメンバーを入れ替えるのかな」「前の試合で主力を休ませなかったから、今度こそ大きく替えそう」と気になりますよね。
そこで、2024年以降のリーグ戦とルヴァン杯の公式記録にある出場時間を使い、日程が詰まったときに顔ぶれがどれくらい変わっているのかを数えてみました。「替えなかったから次は替える」という読みがデータと合っているのかも、一緒に見ていきましょう。
「継続率」で顔ぶれの変化を測る
ここからは、これから迎える試合を「今節」、その直前の試合を「前回」、さらに1つ前の試合を「前々回」と呼びます。
顔ぶれがどれだけ続いたかは、「継続率」という数字で表します。継続率は、前回の出場時間のうち、前々回にも出ていた選手が占める割合です。
ポイントになるのは、選手ごとに2試合のうち短いほうの出場時間だけを「持ち越し」と数えることです。たとえば前々回に90分出た選手が、前回は20分の出場だったなら、持ち越しは20分です。前々回に出ていなかった選手の持ち越しは0分です。
こうして全選手の持ち越しを足し、前回の出場時間の合計で割ったものが継続率です。
- 全員を入れ替えていれば、継続率は0になります
- 同じ11人が2試合ともフル出場に近い形で出ていれば、1に近づきます
なお、公式記録では11人の出場時間の合計が990分を数分上回ることがあるため、1を超えた場合は1として扱っています。
日程が詰まると、入れ替えは実際に増える
まず、今節を前回から何日空けて迎えるかで分け、継続率の散らばり方を比べます。中3日以内は、前回の試合日との差が4日以下のケースです。対象は2024年1月1日以降で、前回と前々回の出場記録がそろっている延べ6,194件(1試合をクラブごとに数えた件数)です。
まず、表の見方からやさしく整理しておきます。値を小さい順に並べたとき、ちょうど真ん中にくる値が「中央値」です。「下位10%」は小さいほうから10%の位置にある値で、これより低いケースが全体の10%あることを表します。「下位4分の1」「上位4分の1」「上位10%」も同じ考え方です。
| 前回からの間隔 | 件数 | 下位10% | 下位4分の1 | 中央値 | 上位4分の1 | 上位10% |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 中3日以内 | 1,444 | 0.28 | 0.58 | 0.75 | 0.85 | 0.91 |
| 中4〜6日 | 3,174 | 0.56 | 0.69 | 0.79 | 0.87 | 0.92 |
| 中7日以上 | 1,576 | 0.60 | 0.72 | 0.80 | 0.87 | 0.92 |
中7日以上と比べると、中3日以内では中央値が0.80から0.75へと下がります。下がり方は小さめですが、下のほうは大きく動いていて、下位10%の境目は0.60から0.28まで落ちています。上位4分の1や上位10%の境目は、ほとんど変わりません。
つまり、日程が詰まる時期には、顔ぶれに大きく手を入れるクラブが増えている、ということです。
逆に言えば、詰まった週でも大きく入れ替えないクラブのほうが多数派です。中3日以内でも中央値は0.75で、半分のケースはこれ以上の継続率を保っています。
表示の区切りはこの分布から決めた
当サイトの表示では、継続率を次の3つに区切っています。
- 0.80以上=ほぼ同じ顔ぶれ:中7日以上の中央値(0.80)と同じ水準で、中3日以内では上位4分の1の境目(0.85)に近いあたりです
- 0.60以上0.80未満=一部入れ替え:その間です
- 0.60未満=大きく入れ替え:中3日以内の下位4分の1の境目(0.58)に近いあたりです
「替えなかったから、次は大きく替える」は逆だった
次に、「前回ほぼ同じ顔ぶれで戦ったクラブは、今節こそ大きく入れ替えるはずだ」という読みを確かめます。
対象は、前々回・前回・今節の3試合の記録がそろい、今節を中3日以内で迎えた1,444件です。前回の時点の継続率(前々回→前回)で3つのグループに分け、今節で実際にどれだけ顔ぶれが続いたか(前回→今節の継続率)を並べました。
| 前回の時点の継続率 | 件数 | 今節の下位4分の1 | 今節の中央値 | 今節の上位4分の1 | 今節で大きく入れ替えた割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 0.80以上(ほぼ同じ顔ぶれ) | 539 | 0.55 | 0.74 | 0.84 | 28.9% |
| 0.60〜0.80(一部入れ替え) | 524 | 0.56 | 0.70 | 0.78 | 30.3% |
| 0.60未満(大きく入れ替え) | 381 | 0.25 | 0.42 | 0.66 | 70.3% |
「大きく入れ替えた割合」は、今節の継続率が0.60未満だったケースの割合です。
もし「替えなかった分の疲れは、次の試合で返す」のなら、同じ顔ぶれで来たクラブほど、今節で大きく入れ替えるはずです。結果はその逆でした。
同じ顔ぶれで来たクラブは、大きくは替えない
前回ほぼ同じ顔ぶれだったクラブは、今節の中央値が0.74でした。大きく入れ替えたのは28.9%で、10回に約3回にとどまります。一部入れ替えだったクラブ(30.3%)とも、あまり変わりません。
入れ替えていたクラブは、また入れ替える
前回すでに大きく入れ替えていたクラブは、今節も70.3%、10回に約7回が大きく入れ替えました。中央値は0.42です。
入れ替えるクラブは入れ替え続け、入れ替えないクラブは同じ顔ぶれを続けやすい。ローテーションは、溜まった疲労を次の試合でまとめて返す動きというより、そのクラブの「やり方」として続いていくものと考えるほうが、データに合っています。
ただし、同じ顔ぶれで来たクラブでも、10回に約3回は大きく入れ替えています。「このクラブは替えない」と決めつけられるわけでもありません。
当サイトの「日程の詰まり」表示
当サイトの回ページなどでは、前回から中3日以内で臨むクラブに「日程の詰まり」を表示しています。前回と前々回の継続率をもとに、同じ選手が続けて出ていれば疲労が残り、入れ替えていれば負担が分散した、と見る目安です。
- 継続率0.80以上(前々回とほぼ同じ顔ぶれ)→「疲労が残りそう」
- 0.60以上0.80未満(一部入れ替え)→「やや疲労」
- 0.60未満(大きく入れ替え)→「疲労は軽そう」
これらはどれも、今節もこれまでと同じことを続けたら、という条件付きの判定です。たとえば「疲労が残りそう」には、「今節も同じ顔ぶれが続けば」という条件が付きます。当日の先発は、誰にも分かりません。
前の章で見たとおり、データはむしろ「替えなかったクラブは次も大きくは替えない」ことを示しています。そのため、「同じ顔ぶれだったから、今節は大幅に入れ替えてくるかもしれない」という但し書きは付けていません。
また、この表示は勝敗確率の計算には使っていません。当サイトの勝敗確率は得点モデル(ディクソン=コールズ型)だけから計算していて、休養日数も、連戦も、ローテーションも入っていません。「日程の詰まり」は、確率とは別に、クラブの状況を知るための情報です。
この検証で言えないこと
- 対象は2024年以降のリーグ戦とルヴァン杯のうち、出場記録がそろっている試合だけです
- AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)は日程しか取り込んでいないため、休養日数の判定には使えますが、継続率は出せません
- 天皇杯の試合は含まれていません
- 分かるのは試合前までの出場記録です。当日の先発は分かりません
- 測っているのは2試合の出場時間の重なりです。疲労そのものを測っているわけではありません
- けがや出場停止による入れ替えも、方針としての入れ替えも、区別せずに同じように数えています
- 見ているのは前々回・前回・今節という連続した3試合の並びです。シーズンを通したクラブの方針を調べたものではありません
- 2024年以降の傾向です。この先も同じ傾向が続くかは分かりません