データで確かめる

連勝中のチームは次も勝ちやすい? 24,061試合で確かめてみました

連勝中のチームは、次も勝ちそうに見えますよね。実際、4連勝以上と4連敗以上では、1試合あたりの勝点に0.64点の差がありました。でも、試合前の強さをそろえると、その差は誤差の中に消えてしまいます。

連勝の流れと、その裏にあるデータ分析を表したサッカーピッチ
AI生成: OpenAI

totoの各回ページでクラブの連勝・連敗を眺めていると、「連勝中のチームは、次の試合も勝ちやすいの?」と気になりますよね。

感覚では、つい「勝ちやすそう」と答えたくなります。そこで今回は、Jリーグのリーグ戦24,061試合(1993年5月15日〜2026年8月30日)を使って、この疑問を確かめてみました。結果とその理由を、順番に見ていきましょう。

調べ方

連勝・連敗は、その試合より前の結果だけから数えました。その試合の結果を混ぜてしまうと、答えを知ったうえで調べることになるからです。

また、前の試合から60日以上あいた場合は、そこで数え直しています。シーズンの切れ目をまたいで、前のシーズンの連勝を次のシーズンに持ち越さないためです。

比べる数字は、その試合で取った勝点です。

生の数字では、連勝はとても強く見える

まずは何もそろえずに、直前の連勝・連敗ごとに、その試合で取った勝点の平均を並べます。

直前の状態 件数 その試合の勝点(平均)
4連敗以上 1,450 1.10
2連敗 4,038 1.27
連続なし 12,318 1.35
2連勝 4,079 1.51
4連勝以上 1,418 1.74

件数は、1つの試合の両チームをそれぞれ1件と数えたものです。表は主な区分を抜き出していて、「連続なし」は直前の試合が引き分けだった場合などを指します。

連敗から連勝に向かって、勝点がきれいに増えています。4連勝以上のチームは、4連敗以上のチームより1試合あたり0.64点も多く取っています。この表だけを見れば、連勝には次の試合を動かす大きな力があるように見えます。

試合前の強さをそろえると、差は消える

ただし、この比べ方には見落としがあります。連勝しているのは、そもそも強いチームであることが多いはずです。強いチームが次の試合でも勝点を多く取るのは、連勝していてもいなくても変わりません。

そこで、試合前の強さの差が同じくらいの試合どうしで比べ直しました。

強さのものさし:Eloレーティング

強さのものさしには、Eloレーティングを使いました。勝てば上がり、負ければ下がる強さの点数です。格上に勝つと大きく上がり、格下に勝ってもあまり上がりません。

試合前の時点での両チームのレーティングの差を、100点ごとの区分に分けます。そのうえで、同じ区分に入る試合の平均と比べて、ホームのクラブが取った勝点が多かったか少なかったか(勝点の増減)を、ホームのクラブの連勝・連敗ごとに集計しました。

結果

表の「誤差」は標準誤差と呼ばれる値です。偶然のばらつきだけでも、数字がこのくらいは上下しうるという幅の目安だと考えてください。

ホームのクラブの状態 件数 勝点の増減 誤差
4連敗以上 744 +0.022 ±0.048
3連敗 846 −0.017 ±0.044
2連敗 2,055 −0.005 ±0.029
連続なし 6,167 −0.033 ±0.016
2連勝 1,965 +0.052 ±0.029
3連勝 782 +0.023 ±0.046
4連勝以上 702 +0.008 ±0.048

生の数字で0.64点あった差は、ほとんど残っていません。4連勝以上のクラブが上乗せしている勝点は、1試合あたり約0.01点です。誤差(±0.048)のほうがずっと大きく、偶然の揺れと見分けがつきません。

ほかの行も同じ傾向です。多くの行で、増減の値そのものより誤差の幅のほうが大きくなっています。連敗から連勝に向かって増えていく並びもありません。

連勝が長いほど数字が大きくなる、という形にもなっていません。2連勝は+0.052、3連勝は+0.023、4連勝以上は+0.008です。

両チームの連勝・連敗の「差」で分けて比べても、結果は同じでした。7つの区分すべてで、勝点の増減は±0.03点の範囲に収まっています。

なぜ消えるのか:連勝は「強さの結果」

理由は、レーティングのしくみにあります。レーティングは勝つたびに上がるので、4連勝したクラブの点数には、その4勝ぶんがすでに反映されています。

つまり「連勝しているから勝ちやすい」のではありません。「強いから連勝していて、その強さはもう点数に表れている」のです。連勝が持っているように見えた予測の力は、「強いクラブは連勝する」という当たり前のことを、別の言葉で言い直したものでした。

試合前の強さが分かっていれば、そこに連勝という情報を足しても、次の試合について新しく分かることはほとんどありません。連勝は強さの言い換えであって、強さに足されるものではない、ということです。

「自分の平均」と比べる方法の落とし穴

強さの違いを取り除く方法として、各チームを同じシーズンの自分自身の成績と比べるやり方も考えられます。私たちも試しましたが、この方法の結果は使っていません。

この方法では、連勝中のチームは自分の平均より0.11点低い、という結果が出ます。「連勝のあとは失速する」ように見えますが、これは計算のしかたが生んだ偏りです。

基準にした「自分の平均」は、その試合を除いた同じシーズンの平均勝点です。ここには、連勝を作った勝ち星そのものが入っています。連勝中のチームほど基準が押し上げられるため、その試合の成績が平均より下に出やすい作りになっているのです。

当サイトでの扱い

当サイトの勝敗確率は、得点モデル(ディクソン=コールズ型)で計算しています。両チームが何点取りそうかを見積もり、スコアごとの確率を勝ち・引き分け・負けに足し上げる方式です。連勝・連敗は、この計算に入れていません。

この検証でEloレーティングを使ったのは、試合前の強さをそろえるための「ものさし」としてです。勝敗確率の計算には、レーティングも使っていません。

一方で、totoの各回のページには、出場クラブの連勝・連敗と、今節も記録が伸びる確率を載せています。ファンとして知りたい事実だからです。

ただし、この確率は連勝から新しく計算したものではありません。その試合の勝敗確率を、連勝・連敗の言葉で言い直したものです。

この検証で言えないこと

  • 強さのそろえ方は粗い。 レーティングの差を100点ごとの区分でそろえたため、同じ区分の中にも強さのばらつきが残っています。
  • カップ戦は入っていない。 調べたのはリーグ戦だけです。回ごとのページの連勝・連敗はすべての大会を通じて数えているので、この検証とは数え方が同じではありません。
  • 予想の成績を直接比べたわけではない。 連勝を実際に予想の計算に加えて、過去の試合で確率予想の当たり具合がよくなるかどうかは試していません。今回の結果からは、よくならないと見込んでいます。
  • 分かったのは、たくさんの試合をまとめた平均の傾向。 一つひとつの試合の中で連勝が何かを変えることがあるかどうかまでは分かりません。言えるのは、試合前の強さを知ったうえでは、次の試合の予想に役立つ情報がほとんど加わらない、ということです。

まとめ

  • 生の数字では、4連勝以上のチームは4連敗以上のチームより1試合あたり0.64点多く勝点を取っています
  • 試合前の強さをそろえると、4連勝以上の上乗せは約0.01点で、誤差(±0.048)のほうがずっと大きくなります
  • レーティングは連勝した分だけすでに上がっています。連勝は強さの結果であって、強さとは別の予測材料ではありません
  • 当サイトは連勝・連敗を表示していますが、勝敗確率の計算には使っていません

関連ページ

  • 的中実績と検証:当サイトの勝敗確率が、実際の結果とどれだけ合っていたかを確かめられます
  • 勝敗確率の読み方:確率の数字をどう受け取ればよいかを説明しています

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