アジア杯2027サウジ大会、開催都市にも渡航中止勧告――「予定通り」と聞いても消えない不安
2027年1月開幕予定のアジア杯サウジ大会。10月22日、組織委員会が開催準備を進める一方、外務省は開催都市を含む8州全域をレベル3に引き上げた。森保監督の任期や年末の代表戦にも目が向く今、「日常は変わらず続いている」という説明と渡航中止勧告の差を、どう受け止めればいいのだろう。
「予定通り」と「渡航中止勧告」。同じ10月22日に届いた二つの言葉に、私は落ち着かない気持ちになりました。アジア杯の開催に向けた説明と安全情報を見ながら、今どう大会を待つか考えてみます。
サウジアラビアで開かれるアジア杯について、大会の組織委員会で広報を担当するガムディさんは22日、東京で予定通りの開催を強調しました。同日、外務省は開催都市がある地域も含めて危険度をレベル3(渡航中止勧告)に引き上げ、渡航をやめるよう求めました。(共同通信配信記事、外務省)
対戦相手や日程を楽しみに眺めていたところへ、選手も応援に行く人も、安全に会場へ行って帰れるのだろうか、という心配が割り込んできました。開催してほしい。でも、不安を抱えたままでは素直に喜べない。今は、その両方の気持ちがあります。組織委員会の説明で目に留まったのは、現地の日常についての言葉でした。
組織委の「予定通り」を、私はどう受け止めたか
準備が進んでいるという話には少しホッとしましたが、不安は残りました。スタジアムの外で、選手や観客が安心して過ごせるのかは、まだ分からなかったからです。
公表されている大会期間は、2027年1月7日から2月5日まで。今の日程では、年が明けてすぐにアジア杯が始まる予定です。(JFA大会ページ)
ガムディさんが10月22日に東京都内で出席したのは、アジアのサッカー大会を運営するアジア・サッカー連盟(AFC)の会合でした。そこで、地域の情勢を見守り、AFCと協力しながら準備を進めていると説明しています。また、サウジ国内のサッカーの試合はいつもどおり行われているとして、こう話しました。(大分合同新聞・共同通信配信)
日常は変わらず続いている
— ガムディ氏(大会組織委員会広報責任者)、大分合同新聞・共同通信配信(2026年10月22日)
国内の試合が続いているという話を読んで、現地には毎日の暮らしがあり、大会に向けて働いている人もいるんだな、と感じました。開催できるのか、延期なのかと考えるあまり、その人たちのことまで思いを巡らせていなかった気がします。遠征する選手や観客のことを思うと、私はまだ安心するところまではいきませんでした。
説明を読んだあと、私は開催都市の名前と外務省の危険情報を見比べました。スタジアムの外で過ごす時間のことが、頭から離れなかったんです。
開催3都市と、レベル3になった地域を重ねる
会場までの移動と滞在の安全を願うイメージ。AI生成イラスト(実際の試合場面ではありません)。
今回の危険情報は、開催地から離れた地域だけの話ではありませんでした。開催予定の3都市も対象となる州に入っていると分かって、私には「8州」という数字が、ぐっと身近なものになりました。
開催予定都市はリヤド、ジッダ、アル・コバールです。リヤドはリヤド州、ジッダはマッカ州、アル・コバールは東部州にあります。(BERNAMA・Anadolu配信、JETRO「リヤド ライフ」)
外務省は10月22日、リヤド、東部、マッカ、マディーナ、ナジュラーン、アシール、バーハ、ジャーザーンの8州全域をレベル3(渡航中止勧告)としました。一部の国境地帯は、それ以前からレベル3でした。イエメンの武装組織フーシ派によるサウジアラビアへの攻撃が続き、強まっていることを受けた更新です。(外務省)
ただ、リヤド・東部・マッカ・マディーナの4州については、企業や団体の活動などで、どうしても避けられない事情がある場合には、滞在を妨げないという説明もあります。その場合も、大使館などと連絡を取り、十分な安全対策を取るよう求めています。私は、観戦のためなら渡航してよい、という話ではないんだなと受け取りました。(外務省)
ここまで読んで、私が思い浮かべたのは、空港から宿泊先へ、そこからスタジアムへと向かう道のりでした。大会を楽しみにしている私の心配は、試合中の90分だけでは収まりません。宿泊客を迎える人や空港で働く人も、現地で毎日を過ごしているんですよね。選手や観客だけでなく、迎える側も落ち着いて暮らせるのかな、と胸がざわつきました。
11月の判断を待つ間に、任期と年末の予定も追う
延期の話が出ると、監督の任期や年末の試合まで心配が広がります。発表された予定をたどってみると、分かることと、まだ答えを待つことがありました。
攻撃が続く情勢の中、AFCのサルマン会長は、必要なら大会を2028年へ延期できると述べ、判断について11月末まで待てると説明しました。(BERNAMA・Anadolu配信、2026年10月16日)
11月末と聞くと、私にはずいぶん先に感じられます。早く予定を知りたいです。
7月23日の発表では、森保一監督がアジア杯終了まで指揮し、その後に大岩剛監督が引き継ぐ予定とされていました。大会が延びた場合の任期までは、この発表では分からないんですよね。(AFC)
また、日本サッカー協会は10月15日、12月30日にパナソニック スタジアム 吹田で、日本代表が国内で戦う親善試合のキリンチャレンジカップを開くと発表しています。(日本サッカー協会)
年末にも代表戦を見られるんだ、と嬉しくなった気持ちは今もあります。だからこそ、延期の話を聞くと「あの試合はどうなるんだろう」と、12月30日が頭に浮かびます。
AFCには大会の開催時期、日本サッカー協会には監督の任期と試合の予定についての説明を待っています。外務省の安全情報では、開催地の状況の変化を確かめます。しばらくは、代表のニュースが届くたびに、そわそわして画面を開くことになりそうです。
次の代表戦を楽しみにする気持ちは、持っていたい
アジア杯の先行きには不安があります。それでも、次に日本代表が見せてくれるプレーを楽しみにする気持ちは残しておきたいです。
アジア杯が始まる予定の1月より前に、日本代表は11月14日にブラジル、17日にパラグアイと、シンガポールナショナルスタジアムで対戦する予定です。(日本サッカー協会)
10月22日の安全情報更新より前、この遠征が発表された9月3日には、森保監督が、アジア杯で力を発揮するために11月の対戦機会を有意義なものにしたいと話していました。(日本サッカー協会)
大会の日程を追っているうちに、選手たちがどんなパスをつなぐのかを楽しみにしていた自分も思い出しました。パスが出る前に味方が動いて、そこへボールが届く。そんな息の合う場面を見ると、嬉しくなるんですよね。
大会の時期が変わったら、監督の交代はどうなるのだろう、と私も考えてしまいます。でも今は先のことを考えすぎず、11月の2試合で選手たちが見せる連係や挑戦を見たいです。
アジア杯も、選手やスタッフ、応援に行く人、現地で迎える人たちが、サッカーに集中できる大会になってほしいと思います。
次の代表戦で、思わず「今のパス、いい!」と声が出る瞬間を待つ。そんな場面を思い浮かべると、少し気持ちが明るくなります。