88分の花城恵唯、その前にあった73分――U-17女子W杯・日本対フランス2-0
U-17女子W杯、日本対フランスは終盤に決着。88分まで続いた0-0の間に、どんな攻防があったのか。70分から出場した花城恵唯の2ゴールは、始まり方がどう違ったのか。フランス媒体が日本優勢と評した一戦で、得点を待つ時間が長く感じられたのはなぜだろう。決勝トーナメント進出、次戦へ。
88分、ようやく生まれた花城恵唯の先制点。その喜びを振り返ると、73分に自陣へ駆け戻り、相手の速攻を止めた諸田彩渚の姿も浮かんでくる。
現地10月21日、モロッコ・ラバトのウィメンズ・フットボール・コンプレックス(ピッチ2)で行われたU-17女子W杯グループD第2節。日本は花城の88分と90+3分の得点でフランスに2-0で勝ち、最終節を残して決勝トーナメント進出を決めた。
終盤に続けて決まった2点には、胸が弾んだ。まだ0-0だった時間も、私の心に残った。攻撃がつながる楽しさと、先に失点するかもしれない怖さ。その時間に何があったのか、たどってみたい。
優勢と言われた0-0、73分の戻り
スコアが動かないともどかしくて、そわそわした。
フランスの女子サッカー媒体footeusesは、試合をこう評している。
un match qui penchait clairement pour les Asiatiques (訳)明らかにアジア勢(日本)の側に傾いていた試合
— footeuses(2026年10月21日)
日本が攻撃を重ねていたという見方には納得する。「明らかに」と評されるほどだったからこそ、得点までの時間がずいぶん長く感じられた。
同媒体が記したシュート数は、日本19本、フランス8本。43分には大田ありすのシュートが相手のゴールキーパーに阻まれ、前半は0-0で終わった。
ゴールへ近づいたと感じる場面があるほど、「そろそろ決まってほしい!」と期待してしまう。ただ、本数だけでは一つひとつの好機がどれほど大きかったかまでは分からない。攻めているのに、最後のあと一歩が遠いなあ。
そして73分、フランスの速攻でレア・モティカに突破を許す。ここで懸命に戻ったのが諸田彩渚だった。身体を張って相手を止め、シュートを打たせなかった。
シュートを打たれたらどうなるだろう、と身構えた。そこへ戻って相手を止めてくれた諸田が、本当に頼もしかった。
0-0のまま、試合は終盤へ進んでいった。
88分はパスの先へ、90+3分は自分で――花城恵唯の2得点
パスでつなぐ攻撃と、自分で運ぶ攻撃を対比したイメージ。AI生成イラスト(実際の試合場面ではありません)。
ようやく決まった先制点に、ほっとした。花城恵唯は続けて、違う形でもう1点を奪った。
花城は70分、栗田七海と交代して出場。そして88分、山路真白からボールを受けた伊藤風葵が、相手の守備の間を通すパスを送る。そこへ抜け出した花城が、シュートを決めた。
「やっと決まった!」という喜びと一緒に、それまでの緊張がほどけていく感じがした。待っていた1点が入るって、こんなにうれしいんだなあ。
花城のシュートを喜びながら、伊藤へ届いた一つ前のパスにも目がいった。山路から伊藤へ、そして花城へ。最後のシュートまでボールがつながっていくところに、わくわくした。
さらに90+3分。左サイドから投げ入れられたボールが、誰のものでもない状態になった。花城は相手の前に身体を入れると、そのままボールを運び、シュートを決めた。
今度は自分でボールをつかまえて、そのままゴールまで行った! 先制点では味方のパスに反応し、追加点では目の前のボールを得点へつなげる。違う形を続けて見せてくれたことに驚いた。
花城はJFAアカデミー福島所属で、2009年6月23日生まれ。この試合では17歳だった。「5分間で2得点」という短さにも驚く。
決勝トーナメントへ――ベネズエラ戦でも見たい一つ前のプレー
決勝トーナメント進出、おめでとう! このチームの試合をまだ見られるのが、素直にうれしい。
2戦2勝で、16チームが戦う決勝トーナメントへ。グループの最終戦は、現地10月24日のベネズエラ戦。次の予定や招集メンバーは、U-17日本女子代表のページでも確認できる。
次戦では、伊藤風葵へ届いたパスのように、ゴールへ向かう攻撃がどうつながっていくかを見たい。ボールを持った選手の近くで、味方はどこへ動いているんだろう。そんなところまで目を向けると、シュートに至るまでの見え方も変わりそうだ。
守備では、諸田彩渚のようにピンチへ戻る選手を探してしまいそうだ。相手が前へ進んだとき、誰が駆け戻り、味方と一緒に止めようとするのか。
まずは突破のうれしさをたっぷり味わいたい。ベネズエラ戦が待ち遠しい。