長谷川唯は60分から、浜野まいかはベンチのまま――英WSLチャールトン0-1マンC、チェルシー1-0アーセナル雑感
バイエルン遠征から中3日、マンチェスター・シティは先発を5人変更。女子バロンドール候補という華やかな肩書きの一方で、英国の週末には厚い選手層と過密日程の日常がありました。表彰候補の名簿と実際のピッチの間に見えたものを、二つの1-0から考えます。
長谷川唯はベンチから試合に入り、チェルシーでは浜野まいかに出番がなく、松窪真心はメンバーに入りませんでした。華やかな肩書きを持つ選手たちにも、それぞれ違う「待つ時間」がある。今回は、そんな静かな週末を見つめます。
2026年9月26日、マンチェスター・シティは敵地ザ・ヴァレーでチャールトンに1-0で勝利。翌27日には、チェルシーがスタンフォード・ブリッジでアーセナルを1-0で下しました。日本人選手の立場は、先発、途中出場、ベンチで出番なし、メンバー外の四つ。海外でプレーする選手を追っていると、ついゴールや高い評価に目が向きます。でも、交代を待つ時間も、ピッチに立てない一日も、長いシーズンの一部。その静けさも含めて見ていくと、欧州で戦う週末が少し違って見えてきます。
交代で入った長谷川唯、先発で退いた藤野あおば
長谷川唯と藤野あおばは、バイエルン遠征から中3日で迎えたチャールトン戦に、それぞれ違う形で関わりました。藤野が先発し、長谷川が交代で入った一戦です。
その前の9月22日、長谷川、藤野、山下杏也加はUWCL、UEFA女子チャンピオンズリーグのバイエルン戦でそろって先発しました。シティは11分と28分に失点しましたが、45分にベス・ミード、86分にカルロッタ・ワムザーが決め、2点差から2-2に追いつきました。
中3日で迎えたチャールトン戦では、シティが先発を5人入れ替えました。藤野は先発。アレックス・グリーンウッドが36分に直接フリーキックを決め、1-0で迎えた60分に長谷川、カディジャ・ショー、ニアム・チャールズが同時に入り、藤野はここで退きました。
なぜこの3人が同時に呼ばれたのかは私には分かりませんが、その顔ぶれにベンチの選択肢の厚さを感じました。藤野が先発を担い、長谷川が途中から加わったこと自体にも、試合が続く時期ならではの分担が見えます。
少しさかのぼると、9月13日のアストン・ヴィラ戦はシティが4-1で勝利し、長谷川と山下が最後まで出場。藤野は先発して62分に交代していました。一方、今回のチャールトン戦で山下は登録メンバーに入っていません。9月だけを見ても、三人の出場の形は同じではありませんでした。
浜野まいかはベンチ、松窪真心はメンバー外
チェルシーでは浜野まいかがベンチで試合終了を迎え、松窪真心は登録メンバーに入りませんでした。二人が青いユニフォームで同じピッチに立つ場面は、もう少し先になりそうです。
2026年9月27日のアーセナル戦では、アリッサ・トンプソンが39分に流れの中から得点し、チェルシーが1-0で勝利しました。前線ではローレン・ジェームズ、メルヴィン・マラール、トンプソンが先発。後半にはスヨーク・ニュスケン、アギー・ビーヴァー=ジョーンズ、サンディ・ボルティモアらが交代で入りました。浜野も控えに名前を連ねていましたが、出番は訪れませんでした。松窪は試合の登録メンバーに入っていません。
松窪は2026年7月3日、NWSL(米国女子1部)のノースカロライナ・カレッジ(North Carolina Courage)から5年契約で加入しました。チェルシーは加入発表の中で、松窪が前季のNWSL年間最優秀MFに選ばれた実績も紹介しています。
一方、ソニア・ボンパストル監督はシーズン開幕前、松窪について、負傷のため起用できず、復帰の時期もまだ決められないと説明していました。今回メンバーに入らなかった事情までは、私には分かりません。
Matsukubo is regarded as one of the most talented young players in world football (訳)松窪は世界の女子サッカーで最も才能ある若手選手の一人と評価されている。
— Chelsea FC(2026年7月3日)
ここまで大きな期待を寄せられているからこそ、私もチェルシーでプレーする松窪を早く見たいです。でも、その期待で急かしたくはありません。青いユニフォームでピッチに立つ日が来たら、思い切り喜びたいな。
浜野に出番がなかったことには、やっぱり少し寂しさが残りました。ただ、チェルシーの先発と交代選手の顔ぶれを見ると、試合に出る枠をめぐる競争の厳しさも感じます。この日は浜野が交代で呼ばれないまま試合終了。私の中には、少しの寂しさと競争の厳しさが一緒に残りました。
華やかな候補者名簿の横にある「待つ時間」
華やかな評価と、ピッチへ向かう機会を静かに待つ時間を対比したイメージ。AI生成イラスト(実際の試合場面ではありません)。
長谷川唯と松窪真心は2026年女子バロンドールの候補に名を連ねています。それでも、欧州で過ごす毎日が、表彰台のように華やかな場面ばかりとは限りません。途中から出る試合も、ベンチで終わる一日もある。だからこそ、その次に訪れる一歩が気になります。
France Football(L'Équipeグループ)とUEFAが2026年9月8日に発表した女子バロンドール候補30人には、長谷川と松窪、そして谷川萌々子の日本人3選手が入りました。さらに山下杏也加は、その年の優れたゴールキーパーをたたえる女子最優秀GK賞の候補に選ばれています。
こうした候補者の名簿を見ると、うれしくて胸が熱くなります。そのぶん、出場時間が短い夜や、ピッチに立てない週末には、少しもどかしさも覚えます。でも、毎試合で目に見える結果を求めてしまうと、選手たちが過ごす長いシーズンの一部分だけを切り取ることになりそうです。今はまだ途中。そう思うと、もどかしさも少しやわらぎます。
この週末でいちばん心に残ったのは、チャールトン戦で3人が同時に呼ばれ、藤野がピッチを離れた場面でした。ひとつの交代で、待っていた選手の時間が始まり、先発した選手の時間が終わる。次の試合では、その順番がまた変わるかもしれません。誰がどんな形でピッチへ向かうのか、その変化を追えることが、私にはこの秋の楽しみになりました。