運営者の雑感

10人変更でも遠藤航はベンチのまま――リバプール対トッテナム3-1と冬移籍報道の距離

マック・アリスターとガクポが決め、62分には中盤を二枚替え。遠藤航は、出場せずに試合を終えた控え4人の一人だった。プレミアリーグ登録とCL登録外が同居する立場は、いまどうなっているのか。イラオラ監督の言葉と1月移籍報道の間に、どれほどの距離があるのでしょうか。

夜のスタジアムで、ピッチへ向かう仲間たちをベンチから見つめる選手の後ろ姿を描いたイラスト
イラスト: OpenAI

先発を10人入れ替え、途中から5人を送り出しても、背番号3は呼ばれませんでした。2026年9月15日のカラバオカップ3回戦。リバプールはトッテナムに3-1で勝ちましたが、遠藤航は最後までベンチに残りました。勝利の余韻のなかで、私の目はピッチよりもベンチの背中へ向きました。

イラオラ監督は、直前のフラム戦から先発を10人も変更しています。先発発表を見た瞬間、これだけ顔ぶれが変わるなら遠藤にも出番があるかもしれないと、気持ちがふっと前を向きました。

ただ、一度のカップ戦だけで、この先や退団まで決まったとは思いません。大きな見出しになった冬の移籍より先に私の心へ残ったのは、5枚目の交代が切られても、遠藤の背中が立ち上がらなかった瞬間でした。

10人変更のカップ戦で見えた現在の順番

私がこの試合でいちばん強く感じたのは、3-1という結果だけではありません。若い中盤の二人に先発の機会が渡り、その後も別の選手が交代で入るなか、遠藤には出番が来なかったことでした。「0分」の後ろに、いまのチーム内の順番が少し見えた気がします。

中盤では19歳のトレイ・ナイオニと22歳のジェームズ・マコネルが先発しました。二人は62分にそろって下がり、代わってライアン・ヘラーフェンベルフとドミニク・ソボスライが入りました。

試合は21分にアレクシス・マック・アリスターが先制し、54分にはコーディ・ガクポが追加点。69分にトッテナムのコナー・ギャラガーが1点を返しましたが、最後は90+1分にソボスライが決め、リバプールが3-1で勝ちました。

リバプール公式のメンバー表を見ると、ほかにはジェレミー・ジャケが46分、ブラッドリー・バルコラが71分、アレクサンデル・イサクが86分に途中出場しています。交代枠はこれで5人分。ベンチに残ったのはアリソン、遠藤、ビクトル・ムニョス、ルーク・チェンバースでした。

若手二人からヘラーフェンベルフとソボスライへつないだ流れを見ると、遠藤は現時点で中盤の選択肢の後ろ側にいるように見えました。若い選手が経験を積み、チームが3得点で勝ったことはうれしい。それでも交代が告げられるたびに背番号3を探してしまう――そんな二つの気持ちが同居した夜でした。

イラオラ体制、負傷明け、二つの登録状況

遠藤の出場がまだ0分だからといって、理由を一つに決めつけるのは早いと思います。今季の立ち位置を見る鍵は、監督が代わったこと、足の負傷から戻る途中だったこと、そして国内リーグと欧州大会で登録状況が違うこと。この三つです。

リバプールは2026年6月4日、アルネ・スロットの後任としてアンドニ・イラオラ監督の就任を発表しました。新しい監督になれば、選手を選ぶ基準やチーム内の順番もあらためて作られていきます。遠藤も、新しい競争のなかで見られている一人です。

しかも、遠藤は万全な状態でその競争を始められたわけではありません。2月に負った足のけがの影響で2026年W杯への出場を断念し、6月には日本代表からの引退を発表しました。7月21日の時点でも、チーム全体の練習へ少しずつ戻っている段階でした。

プレミアリーグでは開幕から4試合続けてベンチに入りましたが、出場はなし。第5節のボーンマス戦では、試合に出られる控えのメンバーにも入りませんでした。数字だけを見ても、厳しい位置にいることは伝わってきます。

ただし、登録のされ方には違いがあります。遠藤はプレミアリーグの25人枠、つまりリーグ戦に出るための名簿には入っています。一方、2026年9月29日に確認した、チャンピオンズリーグを運営するUEFA(欧州サッカー連盟)の登録メンバーには名前がなく、この大会では選択肢に入っていません。

ここまでを「監督の好みに合うか、合わないか」の一言で片づけると、「0分」の背景が薄くなってしまいます。負傷明けの準備、監督交代後の競争、出られる大会の違い。その三つが重なって見えるのが、いまの遠藤です。

「移籍すべき」の声と、1月報道の距離

遠藤については「移籍させるべきだった」という厳しい評価も、2027年1月に売却される可能性を伝える記事も出ています。ただ、どちらもリバプールが発表した決定ではありません。他人の見方と確認できた事実を、同じ箱に入れるわけにはいきません。

“Endo should have been moved on. He has done great, a bit of a cult hero.” (訳)「遠藤は移籍させるべきだった。彼は素晴らしい仕事をし、ちょっとしたカルトヒーローになった」

— ジェイミー・キャラガー(元リバプール選手)、Liverpool.com(2026年9月4日)

「カルトヒーロー」は、誰もが認める大スターとは少し違っても、熱心なファンから特別に愛される存在、という意味です。遠藤が残した仕事への敬意には、私もうなずきました。でも、「移籍させるべきだった」という強い言葉には、少し胸がざわつきます。功績への賛辞と、これからの起用をめぐる判断は、同じ文のなかにあっても別の話です。

9月18日には、Sports Moleが記者ベン・ジェイコブズの見方を紹介しました。契約が終わる前の2027年1月に、リバプールが移籍金を得る機会を探る可能性がある、という内容です。あくまで記者の見方を基にした報道で、クラブによる移籍発表ではありません。

大幅に選手を入れ替えたカップ戦でも出場がなかったことは、たしかに不安な材料です。それでも、報道だけで「もう構想に入っていない」「別れが決まった」とは言い切れません。次の手掛かりは、報道の強さではなく、イラオラ監督が実際に口にした言葉にあります。

「彼の機会」は、どの役割で訪れるのか

中盤と最終ラインの間に立ち、複数の役割へ進める選手の後ろ姿を描いたイラスト 中盤と最終ラインの間で、次に託される役割を待つ姿を表したイメージ。AI生成イラスト(実際の試合場面ではありません)。

イラオラ監督は、遠藤が厳しい競争のなかにいると認める一方で、機会は訪れるとも話しました。気になるのは、その機会がいつかだけでなく、どんな役割で与えられるかです。

“He’s competing against a lot of players because we are also giving minutes to Trey (Nyoni), Ryan (Gravenberch), Alexis (Mac Allister), Dom (Szoboszlai), players that I am selecting right now. But Wata is definitely a player that I like and for sure he will have his moments.” (訳)「ワタは多くの選手と競っています。今はトレイ(ナイオニ)、ライアン(ヘラーフェンベルフ)、アレクシス(マック・アリスター)、ドム(ソボスライ)にも出場時間を与え、彼らを選んでいるからです。それでもワタは私が間違いなく好きな選手で、彼の機会は訪れます」

— アンドニ・イラオラ監督、This Is Anfield(2026年9月14日)

競争相手を一人ずつ挙げた部分は、やっぱり厳しく響きます。それでも最後の一文を読んだ瞬間、閉じた扉の前に、ほんの少しだけ明かりが差したように感じました。では、その「機会」はどこで訪れるのでしょうか。

リバプールの公式プロフィールでは、遠藤は守備的ミッドフィールダーとして紹介され、守備の位置でもプレーできる選手とされています。守備的ミッドフィールダーは、最終ラインの前で相手の攻撃を止め、味方へボールをつなぐ役目です。

トッテナム戦で若い中盤選手が先に選ばれたことを考えると、次の道は同じ位置の先発争いだけではないのかもしれません。試合終盤に中央の危険を整理する仕事や、ゴール前の中央を守るセンターバックなど、複数の位置に対応する場面もありそうだと私は見ています。たとえ最初の出番が短くても、私の目が向くのは時間の長さではありません。どこに立ち、何を任され、味方の位置をどう整えるのか。そちらのほうがずっと気になります。

遠藤は2026年6月、代表通算73試合4得点で日本代表を引退しました。次にピッチへ立つとき、私は投入された時刻だけでなく、最初に立つ場所を見るはずです。中盤の底なのか、最終ラインなのか。最初に受け取るボールと、最初に埋める場所に、イラオラ監督が託した仕事が表れるでしょう。背番号3を探したこの夜の引っかかりは、そこで初めて次の景色へ進みます。

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