長谷川唯と谷川萌々子、違うリズムが交わる夜――バイエルン対マンチェスター・シティ UWCL開幕戦プレビュー
UEFA女子チャンピオンズリーグ開幕節、バイエルン対マンチェスター・シティは日本時間9月23日未明。舞台はマンチェスターではなくミュンヘン近郊の新しい会場です。長谷川唯と谷川萌々子、対照的な二人の中盤をどこから眺めるか、遠征メンバーの顔ぶれとあわせて考えます。
日本時間では日付が変わった9月23日1時45分、UEFA女子チャンピオンズリーグのリーグフェーズが始まります。開幕カードのひとつが、バイエルン・ミュンヘン対マンチェスター・シティ。長谷川唯と谷川萌々子の名前が同じ試合に並ぶだけで、私はもう中盤ばかり目で追ってしまいそうです。
まず、舞台を取り違えたくない
会場はマンチェスターではなく、バイエルンが今季からチャンピオンズリーグのホームとして使うスポルトパルク・ウンターハヒングです。現地9月22日18時45分、日本時間では23日1時45分のキックオフ。8月にパリFCとの親善試合でこけら落としを済ませたこの場所で、バイエルンが公式戦を戦うのは今回が初めてになります。
両クラブが公式戦で対戦するのも今回が初めてです。しかも、どちらも昨季は国内リーグとカップの二冠。初顔合わせなのに、様子見で静かに入るより、互いの基準をいきなり突きつけ合う夜になるのかな。そんな少し張りつめた空気を想像しています。
遠征メンバーの3人と、ホームで待つ谷川
シティの公式遠征メンバーに入った日本人選手は、長谷川唯、山下杏也加、藤野あおばの3人。清水梨紗の名前は今回のリストにはありません。先発は発表前なので決めつけられませんが、中盤だけでなく、ゴール前やサイドにも目を離せない理由があります。
バイエルンの谷川萌々子は、9月19日のブンデスリーガ第5節ケルン戦(5-2)に先発し、46分に退いています。バイエルンで同僚のペルニレ・ハルダーは、谷川の将来性をこんな言葉で評価しています。
Momo is incredibly talented, she has a promising future ahead of her. (訳)「モモには並外れた才能があり、明るい未来が待っています」
— ペルニレ・ハルダー(バイエルン・ミュンヘン)、FC Bayern Women(2026年3月)
「才能」だけでなく「未来」という言葉まで続くところに、日々そばでプレーする仲間の期待を感じました。ただ、今夜の私は少し欲張りです。未来の大きさよりも、最初のボールタッチや守備への戻り方で試合へすっと入っていく、目の前の谷川を見たいと思っています。
静かに整える人と、前へ運ぶ人
静かな配球と縦への推進力を対比したイメージ。AI生成イラスト(実際の試合場面ではありません)。
長谷川を見ていると、速く動くことより、次に速く動ける場所へ先回りしているように感じます。ボールを受ける前の首の振り、味方へ渡した後の小さな移動。派手な一手の前に、試合の呼吸を整える仕事が何度もあるんですよね。
対戦相手のバイエルンも、長谷川を中央のプレーメーカーとして紹介しています。
Japan’s Yui Hasegawa is the playmaker in central midfield, while she’s also been given freedom to get involved in attacks under Jeglertz. (訳)「日本代表の長谷川唯は中盤中央のプレーメーカーで、イェーグリッツ監督のもとでは攻撃に関わる自由も与えられています」
— FC Bayern Women(2026年9月20日)
相手側から「プレーメーカー」とまっすぐ書かれると、長谷川の静かな仕事が欧州の大舞台でも中心的な論点になっているのだと、あらためて感じます。「攻撃に関わる自由」という部分も面白くて、低い位置で整える姿だけに視線を固定したくなくなりました。
私が谷川に感じる魅力は、そこから前へ景色を変える速さです。運ぶ、走り込む、シュートへ向かう。その選択が入ると、同じ中盤でも時間の流れが一段変わるように見えます。長谷川が試合の余白をつくり、谷川がその余白を縦に切り開く――そんな対照が本当に現れるのか、それとも二人が別の表情を見せるのか。そこを楽しみにしています。
「長谷川対谷川」だけにしないで見たい
二人が直接ボールを奪い合う瞬間は、もちろん胸が高鳴ります。でも、私がいちばん見たいのは、その一歩前です。谷川が前へ出た背後を誰が埋めるのか。長谷川が向きを変えた瞬間、藤野や前線の選手がどこへ走るのか。山下の配球が、シティの最初の前進をどう始めるのか。
中盤の勝負は一対一のように見えて、実は周囲との関係が何層も重なっています。だからこそ、「先輩と若手の司令塔対決」というきれいな言葉だけでは収まらないはず。日本人選手同士の対面を喜びつつ、両チーム全体の距離感まで見届けたいです。
深夜1時45分は、正直ちょっと眠い時間。それでも、新しい会場で始まる初対戦に、違うリズムを持つ二人がいる。眠気の向こうにどんな90分が待っているのか、わくわくしながらキックオフを待ちます。