松木玖生、11分の左足から90+6分まで――日本代表対ウルグアイ3-1で見えた主役の受け渡し
日本代表がウルグアイに3-1。松木玖生の代表デビュー弾から、90分を越えて決まった塩貝健人と上田綺世のゴールまで、宮城の夜には長い1-1の時間がありました。右ウイングバックの松木、佐野兄弟のダブルボランチ、63分の4枚替え。その90分で何が動いたのかを追いました。
3-1というスコアだけを見ると、日本代表がきれいに勝ち切った夜に映ります。でも、ウルグアイ戦は90分を過ぎるまで1-1でした。最後に生まれた2点の鮮やかさと、その直前まで残っていた落ち着かなさ。その両方があったから、私はこの試合を新しい主役が次々とバトンを受け取った一戦として覚えておきたいです。
2026年9月24日、キューアンドエースタジアムみやぎ。松木玖生、塩貝健人、上田綺世という3人の得点者は、それぞれ異なる時間帯と役割から試合に色を加えました。
11分、松木玖生のためらいのなさ
代表デビューの松木玖生は右ウイングバックで先発し、11分に先制点を決めました。中村敬斗から大きく届いたボールを胸で収め、右から内側へ運び、左足で遠いサイドへ。初出場の緊張よりも「ここで打つ」という迷いのなさが先に見えた一撃でした。
得点だけでなく、中盤が本職の選手が右サイドの役割へ入っていたことも印象に残ります。内側へ入る動きと外に幅を取る動きがまだ整い切らない時間もあるように見えましたが、あのシュートには、自分の強みをピッチへ置いて帰ろうとするような思い切りを感じました。
Southampton midfielder Kuryu Matsuki enjoyed a dream debut as he scored on his first cap for Japan. (訳)サウサンプトンのMF松木玖生は、日本代表初出場で得点し、夢のようなデビューを飾った。
— Southampton FC(2026年9月24日)
所属クラブの「dream debut」という表現には素直にうなずきました。ただ、私は夢のような華やかさ以上に、ボールを受けてから振り抜くまでの現実的な強さにひかれます。代表で最初に残したものが、遠慮のない左足だったのが松木らしくてうれしくなりました。
1-1の時間が長かったからこそ
日本は42分にマキシミリアノ・アラウホの得点で追いつかれました。後半にも自陣から前へ運ぶ途中でボールを失い、ひやっとする場面がありました。先制点の高揚感だけでは押し切れず、試合の手触りはずっと重めだったと思います。
Una lástima. El resultado fue bastante ventaja para lo que había sido el encuentro en casi los 90 minutos. (訳)残念だ。ほぼ90分を通しての試合内容に比べると、結果はかなり点差が開いたものになった。
— ディエゴ・フォルラン(ウルグアイ代表監督)、ClaroSports(2026年9月24日)
フォルラン監督の言葉は、見ていた感覚に近いです。日本の終盤の2点には価値がありましたが、3-1だけでは途中の苦しさがこぼれ落ちます。だからこそ、うまくいかない時間を抱えたまま試合を終わらせなかったことに、私はいちばん心を動かされました。
63分から始まった主役の受け渡し
交代選手が異なる役割を持ち寄り、終盤のつながりを生む様子を表したイメージ。AI生成イラスト(実際の試合場面ではありません)。
63分、日本は板倉滉、前田大然、堂安律、松木を下げ、鈴木淳之介、上田、久保建英、伊東純也を同時に投入しました。77分には相馬勇紀と田中碧、83分には塩貝が加わり、前線と中盤の組み合わせは大きく変わりました。
交代直後から攻撃がすべて滑らかになったわけではありません。それでも90+1分、上田のパスを受けた塩貝がゴール前へ入り、代表初得点となる勝ち越し点。さらに90+6分には、久保がボールを保ち、伊東のスルーパスに抜け出した上田がGKをかわして3点目を決めました。
松木の一振りで始まった夜が、塩貝の初得点へつながり、最後は上田が自分で決める。途中出場した選手同士が互いを生かした連続得点だったのが、とても好きです。誰か一人が試合を独占するのではなく、少しずつ主役が入れ替わっていく。その受け渡しに、代表の新しい競争の面白さを感じました。
佐野海舟と佐野航大、兄弟より先に見えた二人の選手
佐野海舟と佐野航大は、ダブルボランチでそろって先発しました。航大はハーフタイムまで、海舟は77分までプレー。兄弟が同時に立ったことへ目が向きますが、私は早い段階から二人を別々の選手として見たくなりました。
海舟が相手との距離を詰める場面と、航大が前を向いてボールの出口を探す場面。それぞれの選択には違うリズムがあるように見えました。連係が自然に続く時間もあれば、ウルグアイの圧力で前進が途切れる時間もありました。その揺れまで含めて、二人が同じ中盤に立った最初の景色は興味深かったです。
「兄弟共演」という一言は分かりやすいけれど、そこだけで終えるのは少しもったいない。これからは名前の並びより、二人がどんな距離でボールを受け、誰へ渡すのかをもっと見てみたいと思いました。
次は広島で、別の90分へ
日本代表は9月28日19時25分から、エディオンピースウイング広島でベネズエラ代表と対戦します。ウルグアイ戦に勝ったことと、次の試合がどうなるかは別の話です。
それでも宮城の夜から持っていけるものはあります。松木が最初の機会を左足で仕留めたこと。重い1-1の時間を途中出場組が動かしたこと。塩貝と上田の得点が、一人で完結するのではなく味方とのつながりから生まれたことです。
3-1の華やかさだけでなく、90分を越えるまで答えが出なかった時間も忘れずにいたい。その長さを知っているから、最後の2点がいっそうまぶしく見えました。