20得点0失点をいったん置く夜――なでしこジャパン対フィリピン、アジア大会準々決勝展望
アジア大会グループステージを20得点0失点で締めたなでしこジャパン。今夜19時30分、エコパでの準々決勝フィリピン戦へ。3試合連続弾の神谷千菜、「もう一試合」を喜ぶ相手監督の言葉、そして今夜ベンチに並ぶスタッフの顔ぶれまで、キックオフ前に気になる点を挙げます。
今夜9月25日19時30分、小笠山総合運動公園エコパスタジアムで、なでしこジャパンがフィリピン女子代表とのアジア競技大会準々決勝に臨みます。
タイに8-0、ベトナムに8-0、チャイニーズ・タイペイに4-0。グループステージの数字は華やかです。でも、ここからは一度の結果で大会を去る可能性もあるノックアウトステージ。私は20得点より、その大きな数字をいったん横に置けるかが気になっています。
20得点0失点を置いて、一本の橋へ
グループステージの大きな数字と、一発勝負へ続く一本の道を対比したイメージ。AI生成イラスト(実際の試合場面ではありません)。
グループステージの日本は3試合とも12分までに先制しました。タイ戦は3分、ベトナム戦は12分、チャイニーズ・タイペイ戦は6分に得たPKから試合を動かしています。
早い時間に落ち着きを得られた3試合だった、と私は感じました。ただ、その並びを「今夜も早く決まる」という材料にはしたくありません。0-0の時間が長くなったとき、急がず、それでも怖がらずにボールを動かせるか。準々決勝で見たいのは、むしろそこです。
神谷千菜の4得点は、四つの違う景色だった
神谷千菜選手はグループステージの全3試合で得点しました。タイ戦の30分はヘディング。ベトナム戦では12分にミドルシュート、52分に左足のボレー。チャイニーズ・タイペイ戦の20分には、クロスを頭で仕留めています。
私が惹かれたのは、4点が同じ形の繰り返しではなかったこと。中央でも空中でも、一歩下がった位置からでもゴールへ向かっていました。今夜も得点だけを待つというより、相手の最終ラインを動かす立ち位置や、味方が前を向くための起点になる場面を見届けたいです。
フィリピンが手にした「もう一試合」
フィリピンはグループGを1勝1分け1敗で終え、2大会続けて準々決勝へ進みました。中国戦では1-5という結果も経験していますが、その一試合だけで今夜の相手の輪郭を決めたくはありません。
“I’m really happy that we managed to get the extra game outside of the group stage at the moment and hopefully push for another game if we make it to the semifinals, but right now we’re very glad with where we’re at, and the girls should be very proud of themselves.” (訳)「現時点でグループステージの先にもう一試合を得られたことを、とてもうれしく思います。準決勝に進めればさらにもう一試合できますが、今はここまで来られたことを喜んでいますし、選手たちは自分たちを誇っていいと思います」
— マーク・トルカソ監督、Daily Tribune(2026年9月25日)
「もう一試合」という言葉に、私はノックアウトステージの重さを感じました。日本にとっては通過点に見えやすい準々決勝でも、フィリピンにとっては自分たちでつかんだ新しい機会。その気持ちを軽く見ない入り方ができたらいいな、と思っています。
石井正忠コーチは、今夜のベンチにはまだいない
ここは大切なので整理しておきたいです。石井正忠氏のなでしこジャパンコーチ就任は9月18日に発表されましたが、JFAの発表では帯同は10月の活動から。アジア競技大会の登録スタッフにも石井氏の名前はありません。
だから今大会の20得点0失点は、狩野倫久監督、内田篤人コーチ、近賀ゆかりコーチら現在のスタッフと選手たちが積み上げたものとして見たいです。新しいコーチを迎える物語は、この大会が終わった後に始まります。今夜は今ここにいるチームの試合です。
大きな点差の記憶より、まだ何も決まっていない0-0の数分間をどう過ごすのか。少し緊張しながら、その時間を見つめたいと思います。