運営者の雑感

小久保玲央ブライアンの「1ミリも」と鈴木彩艶の合流――ベネズエラ戦前日、日本代表GK3人の現在地

日本代表は9月28日に広島でベネズエラと対戦する。代表変更報道に答えた小久保玲央ブライアン、全体練習へ戻った鈴木彩艶、ウルグアイ戦に先発した早川友基。デ・ゼルビ監督が試合前から意識していたロングボールの話も交え、順番争いだけではない明日の見どころを考えた。

夕暮れの広島の街並みを背に、ゴール前に並んで準備する三人のゴールキーパーを描いたイラスト
イラスト: OpenAI

あす9月28日、日本代表は19時25分からエディオンピースウイング広島でベネズエラ代表と対戦する。招集されたGKは早川友基、小久保玲央ブライアン、鈴木彩艶の三人だ。

並んだ名前を見ると、つい「誰が一番手か」という話を急ぎたくなる。でも前日のいま、私の頭に残っているのは序列よりも、それぞれが違う時間を過ごして広島まで来たことだった。

「1ミリも」に、ほっとしただけでは終われなかった

一部の海外メディアが、小久保にナイジェリア代表へ変更する可能性があると報じた。この件について本人は9月26日の取材で、「1ミリも(代表チームを)変えたいと思ったことはありません」と話している。ナイジェリア側からの打診もなかったという。

言葉を聞いた瞬間は、正直ほっとした。ただ、それ以上に心に残ったのは、本人が突然広がった話に自分の口で向き合わなければならなかったことだった。

二つの国にルーツを持つことと、外から進路を決めつけられることは別の話だと思う。小久保が日本への思いを語ってくれたからこそ、私たちもその言葉を静かに受け取りたい。刺激的な見出しだけが独り歩きするのは、やっぱり少し寂しい。

三人の競争を、二人だけの物語にしない

三つのロッカーに置かれた色の異なる三組のGKグローブと、扉の先のゴールを描いたイラスト 三者三様の準備と、一つのゴールへ向かう責任を表したイメージ。AI生成イラスト(実際の試合場面ではありません)。

9月24日のウルグアイ戦では早川が先発し、日本が3-1で勝った。小久保はベンチで出番を待ち、脇腹の痛みでメンバー外だった鈴木は翌25日、広島での全体練習に初めて合流した。

小久保と鈴木の名前が並ぶと、欧州でプレーする二人の競争が大きく見える。でも、ウルグアイ戦のゴールを任された早川を話の外に置きたくはない。三人とも同じ場所に立ちながら、ここまでの準備も、背負ってきた試合も違う。

私はこの競争を、勝ち残った一人だけを見るトーナメント表のようには眺めたくないなと思う。誰が起用されても、ほかの二人の時間が消えるわけではない。その厚みまで含めて、いまのGK陣なのだと思う。

鈴木彩艶の「長いボール」を相手監督も見ていた

鈴木は9月19日のトッテナム戦でアストン・ヴィラのゴールを守り、3-2の勝利に貢献した。試合後、トッテナムのロベルト・デ・ゼルビ監督はこう話している。

We knew before the game that Suzuki, the goalkeeper, is very good in the long ball. (訳)試合前から、GKの鈴木がロングボールにとても優れていることは分かっていました。

— ロベルト・デ・ゼルビ(トッテナム監督)、Tottenham Hotspur(2026年9月19日)

相手監督が事前準備の段階からロングボールを意識していたことに、鈴木の武器が現地でどれほど具体的に見られているのかを感じた。同じ試合では11分に連続セーブがあり、67分のヴィラの2点目は鈴木の長いゴールキックから始まっている。

GKの仕事はセーブと配球に分けて語られがちだけれど、一つのプレーで守備から攻撃へ景色を変えられる。そこが鈴木を見る楽しさだ。ただし、この評価だけでベネズエラ戦の起用が決まるわけではない。脇腹の痛みが癒えて全体練習へ戻ったばかりという現在地も、同じように見ておきたい。

広島で見たいのは、序列よりプレーの輪郭

9月27日時点で、ベネズエラ戦の先発GKは発表されていない。だから予想を当てにいくより、起用された選手が最初の数プレーで何を選ぶのかを見たい。

相手が前から来たときに短くつなぐのか、背後へ長く届けるのか。クロスを処理したあと、どんな声や身ぶりで最終ラインを整えるのか。セーブの直後に試合の速度を上げるのか、いったん落ち着かせるのか。そうした小さな選択に、そのGKらしさが出る気がする。

小久保の言葉から始まった今週の話題は、三人の現在地を見直すところまで広がった。あす一試合でGKの順番がすべて決まるとは思わない。でも、いま日本代表が最後尾からどんな試合をつくろうとしているのか、その輪郭は少し見えるかもしれない。そんな期待を持って、広島のゴール前を見つめたい。

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