18分からの戸嶋祥郎、84分の瀬川祐輔――柏対神戸4-2、首位浮上の夜の雑感
J1第9節、柏レイソル対ヴィッセル神戸は4-2。27分に藤尾翔太が拾ったこぼれ球、53分に山内日向汰へ届いたクロス、64分に久保藤次郎が運んだボール。押し込まれた前半を経て、途中出場の選手はどこで得点に関わったのか。終盤の3つのゴールへ至る場面を、交代後の役割とともに追います。
ボールを届ける選手と走り込む選手を表したイメージ。AI生成イラスト(実際の試合場面ではありません)。
3-0から1点を返された直後の84分、途中出場の瀬川祐輔が4点目を決めました。(Jリーグ公式記録)私はこの一撃を見て、途中から出た選手がどこで得点に関わったのかを振り返りたくなりました。得点した人と、ボールを届けた人。今回はその両方に目を向けたいです。
10月9日、三協フロンテア柏スタジアムで行われた2026/27シーズンのJ1第9節。柏レイソルはヴィッセル神戸に4-2で勝ち、勝点21で、この日終了時点の首位に浮上しました。(Jリーグ公式記録、公式順位表)
4人の得点者とともに、私の心に残ったのが、途中出場の戸嶋祥郎が山内日向汰へ届けたクロスでした。(柏レイソル公式)まずは27分、藤尾翔太の先制点から。
27分の藤尾翔太、こぼれ球まで続いた攻撃
最初のシュートを止められても、柏の攻撃はそこで終わりませんでした。藤尾翔太がこぼれ球に反応するまでの短い時間に、私はぐっと引き込まれました。
27分、小泉佳穂が右側から送ったボールが遠藤渓太につながり、遠藤がシュート。相手選手に防がれたあと、そのこぼれ球を藤尾が右足で決めました。(Jリーグ公式試合速報)
「ああ、止められた」と一瞬気持ちが沈んだのに、すぐ藤尾が決めてくれた。この短い間に、私の気持ちも忙しく動きました。最初のシュートだけを追っていたら、その先にいる藤尾を見逃してしまいそうです。
藤尾は試合後、遠藤が外側から中央へ切り込んでシュートする形を踏まえ、その先のボールを狙えたと説明していました。(柏レイソル公式・試合後コメント)
なるほど、と私はうなずきました。遠藤がシュートするとき、藤尾はどこで待っていたのだろう。こぼれ球への反応だけでなく、その直前の立ち位置まで知りたくなります。ゴールを決めた瞬間の前にも、藤尾を見る楽しさがあるんですね。
柏は前半を1-0で終えました。(Jリーグ公式記録)ただ、リカルド・ロドリゲス監督は、前半途中から自分たちの陣地で守る時間が増えたと振り返っています。ハーフタイムには、ボールを持ち、相手の陣地で長くプレーする方向へ修正したそうです。(柏レイソル公式・監督コメント)
味方のシュートの先まで見ていた藤尾。その頼もしさを感じながらも、1点差ではまだ落ち着けません。先制できた喜びと、楽には進められなかった前半。その両方を抱えて、後半へ進みます。
戸嶋祥郎が届けた一本と、53分の山内日向汰の左足
日々の準備と出番を待つ気持ちを表したイメージ。AI生成イラスト(実際の試合場面ではありません)。
山内日向汰の2点目には、ボールを届けた戸嶋祥郎の準備も詰まっていたように感じます。守る位置から前へ出て、得点を助けた一本。そのプレーを知ると、山内の左足だけでは見終えられません。
53分、戸嶋が右側から送ったクロス、つまり横からゴール前へ届けたボールを、山内が左足で決めました。これで柏は2-0です。(Jリーグ公式試合速報)
山内が合わせた瞬間、思わず声が出ました。喜ぶ姿を見たあと、もう一度見たいと思ったのが、その直前の二人の動き。走り込む山内と、その場所へ送った戸嶋です。
戸嶋は18分、負傷で退いた馬場晴也に代わって出場していました。本来は中盤でプレーする選手ですが、この日は右のセンターバック、つまり守備の最終列の右側に入りました。センターバックでの出場は、プロで初めてだったそうです。(柏レイソル公式・試合記録とコメント、スポーツ報知)
本人によると、中盤の中央で攻守を支える役割で出ると考えていたそうです。一方で、守備の最終列の右側でも練習を重ねていて、試合ではチャンスがあれば前へ出ようと考えていたと話しています。(柏レイソル公式・戸嶋コメント)
守備の位置に入った選手が、前へ出てあのボールを届ける。急な出番で、しかもプロでは初めての位置から。私はその一歩に驚きました。
監督も、戸嶋が練習でその位置に入り、攻撃でも守備でもよいプレーをしていたと説明していました。また、出場機会が少ない中でも準備を続けてきた姿勢を評価しています。(朝日れすかPLUS)戸嶋について、リカルド・ロドリゲス監督はこう話していました。
彼は、我々が期待するようなお手本になる選手。
— リカルド・ロドリゲス(柏レイソル監督)、朝日れすかPLUS(2026年10月9日)
私はこの「お手本」という言葉にうなずきました。出番が来るまで続けてきた練習が、あの一本につながったように感じます。得点場面の前に、そんな時間があったんだと思うと、胸が熱くなりました。
山内の左足と一緒に、戸嶋が前へ出た一歩も覚えておきたい。私にとっては、得点者の名前を追うだけでは味わえなかった2点目でした。
64分の久保藤次郎、右から中へ運んだ3点目
右で受けた久保藤次郎が、そのまま中央へ。3点目では、ボールを渡す先よりも、久保自身の動きに引き込まれました。自分で運んでシュートまで持っていく姿を、私は目で追っていました。
64分、小泉佳穂が相手のボールを奪ったあとのこぼれ球が、久保につながりました。久保は右側から、ボールを足元で動かしながら中央へ進み、左足で決めています。(柏レイソル公式・得点経過)
右でボールを持ったとき、私はゴール前へ送るのかな、と待っていました。そこから中央へ進む姿を見ているうちに、気持ちが変わります。「そのまま打って!」と、いつの間にか久保自身のシュートを待っていました。
53分の山内日向汰は、届けられたボールに合わせて得点。64分の久保は、自分で運んで決めました。別の選手が、別の形で追加点を取ってくれた。さっきはボールと走り込む山内を見ていたのに、今度は久保の足元を追っている。同じ得点でも、見ている私の目の動きまで変わるのがおもしろいですね。
久保の左足だけでなく、その前にボールを奪った小泉にも拍手を送りたいです。相手からボールを奪う動きと、中央への持ち運び。この二つが続いたところも、覚えておきたいと感じました。
右側から中央へ進む間に、私の期待が膨らんでいった3点目。3-0になって、少し肩の力が抜けました。このまま落ち着いて見ていられるかと思ったのですが、終盤にはまた残り時間が気になってきます。
81分、84分、88分――最後まで落ち着けなかった
瀬川祐輔の4点目には、私も大きくほっとしました。でも、神戸に2点を返された終盤は、落ち着いたと思ったらまた気になる、その繰り返し。交代選手の働きに喜びながらも、最後まで気持ちは揺れていました。
神戸の小松蓮は71分に酒井高徳に代わって出場し、81分、ジエゴが左側からゴール前へ送ったボールを頭で決めました。これで3-1です。(Jリーグ公式記録、公式試合速報)
まだ2点差はあるのに、私は次のボールの行き先が気になり始めました。もう一度ゴール前に送られたらどうなるだろう。神戸でも途中出場の小松が得点したことで、反撃の場面からも目を離せなくなりました。
同じ71分、柏では山内日向汰に代わって瀬川が出場していました。その瀬川が84分、左側で相手のボールを奪い、自分で運んで右足で決めます。(柏レイソル公式・交代と得点経過)
戸嶋祥郎はゴール前へボールを届け、瀬川は自分で奪ってシュートまで持っていった。途中から出た選手が、それぞれ違う形で得点に関わったことが、私には頼もしく感じられました。
しかも、失点から3分後です。神戸の次の攻撃が気になっていたところで、柏がもう一度点差を広げてくれた。「よかった」と、ようやく息がつけるような一撃でした。
ところが88分、飯野七聖のボールをジエゴが頭で決め、4-2に。(Jリーグ公式試合速報)ゴール前へ送られたボールから、また得点されたことは気になります。一度ほっとした私も、残り時間を見ながら終了を待つ気持ちに戻りました。
試合が終わって残ったのは、4点を取って勝てた喜びと、2点を返された気がかりの両方です。瀬川が点差を広げた場面には救われた。それでも、ゴール前へ送られたボールから2点を返されたことには、気がかりが残りました。そんな気持ちで、この試合を受け止めています。
首位のうれしさと、次の出番を待つ楽しみ
首位に立ったことは素直に喜びたいし、14日の試合で選手がどんなプレーを見せるのかも待ち遠しいです。
10月9日終了時点の柏は、9試合で7勝0分2敗、勝点21。得点から失点を引いた得失点差は+7で、首位です。神戸は9試合で6勝1分2敗、勝点19、得失点差+5の2位。第9節の全試合が終わる前の順位です。(Jリーグ公式順位表)
順位表のいちばん上に柏の名前があると、やっぱりうれしいですね。試合が終わったあとも、もう一度見たくなります。ここまでの9試合で届いた場所を、今は素直に喜びたいです。
柏の次の公式戦は10月14日。アジアのクラブ大会、ACLEでのポートFC戦です。リーグ形式で戦う段階の第2節で、19:00から柏サッカースタジアムで開催される予定です。(柏レイソル公式・開催案内)この神戸戦と同じスタジアムです。(柏レイソル公式・会場案内)
ポートFC戦では、途中から出た選手が最初にどこへ走るのかを見てみたいです。また4点取ってほしいと願うより、一人一人が出番を迎えたときの動きをじっくり追いたい。
最後に浮かぶのは、戸嶋が右から送ったあのボール。山内の左足へ届くまでを、今も目で追いたくなります。得点欄に名前が載らない選手の一球にも、こんなに胸が弾むんですね。