90+7分、雨の等々力で飛んだペドロ・ホマーノ。川崎F対鹿島3-3雑感
レオ・セアラが2得点、伊藤達哉と松村優太もネットを揺らした等々力の夜。19分に取り消された一撃、ハーフタイムの3枚替え、そして試合後に両監督が口にした反省。川崎フロンターレ対鹿島アントラーズ、流れが何度も入れ替わった3-3の一戦を振り返ります。
雨のUvanceとどろきスタジアム by Fujitsuで、気持ちが何度もひっくり返りました。2026年9月19日のJ1第8節、川崎フロンターレ対鹿島アントラーズは3-3。22,734人が見届けた試合は、90+7分まで結末を決めさせてくれませんでした。
終わった瞬間、6得点の華やかさよりも、両チームに残った悔しさの大きさが気になりました。川崎Fは土壇場で追いついたのに、勝てた試合という感触がある。鹿島は一度ひっくり返したのに、あと少しを守り切れなかった。こんなにも喜びと悔しさが同じ場所にある引き分けは、やっぱり心に残ります。
前半終了間際から、試合がほどけていった
19分にはペドロ・ホマーノがネットを揺らしたものの、直前にマルシーニョの手に当たっていて、VARの介入を経てハンドで取り消されました。川崎Fが押し込む時間が長く見えたなか、先に得点したのは鹿島です。44分、松村優太のクロスをレオ・セアラが頭で決めました。
このまま鹿島が1点を持ってハーフタイムへ入るかと思った45+3分、脇坂泰斗の浮き球に抜け出したマルシーニョが同点にします。前半の最後に生まれた1-1が、後半の落ち着かない展開の扉を開けたように感じました。
54分には伊藤達哉が右足で川崎Fを逆転へ導き、67分にはチャヴリッチの折り返しからレオ・セアラがこの日2点目。83分、柴崎岳のシュートのこぼれ球を松村優太が仕留めました。追いついて、追い越されて、また追いつく。スコアを追うだけでも息をつく暇がありませんでした。
後半開始の3枚替えが生んだもの
鹿島は4日前の9月15日、ACLE初戦でニューカッスル・ジェッツに7-1で勝利していました。その試合を経て迎えた等々力で、鬼木達監督は後半開始から柴崎岳、三竿健斗、チャヴリッチを同時に投入します。
試合後の鬼木監督は、前半はある程度様子を見るところもあったと明かしたうえで、実際にはミスが多く、後ろが重くなっていたため、フレッシュな選手を入れたかったと説明しました。チャヴリッチは2点目をアシストし、柴崎のシュートは3点目へつながりました。交代が得点場面にしっかり絡んだのは面白かったです。
それでも、川崎Fはその直後の54分に先に勝ち越しています。交代策がすぐ答えになるわけではなく、両チームが互いの一手へ反応し続けた後半でした。
90+7分、センターバックがゴール前にいた
鹿島が1点リードで迎えた90+7分。右から山本悠樹が早いクロスを送り、前線まで上がっていたDFペドロ・ホマーノが頭で押し込みました。川崎Fでの初得点が、試合を3-3へ戻す一撃です。19分に消えたゴールが、時間をまたいで戻ってきたようにも見えました。
ペドロ・ホマーノは試合後、まだ点を取れるんじゃないかと自分たちも思っていたし、仲間からもそう声をかけられていたと振り返っています。その言葉を信じて、最後の一歩をゴール前へ踏み込んだ。その選択に、私はいちばん胸をつかまれました。
雨のなかで高く跳んだ姿は、派手な作戦というより、まだ終わっていないと全身で示すようでした。すでに90分を超えていたからこそ、あのヘディングには時間以上の重さがありました。
同じ3-3に残った、違う悔しさ
鬼木監督は、勝ち越したあと、足をつったレオ・セアラを前に残し、ほかの選手で守る考えだったと説明しています。そのうえで、伝え切れなかった部分や、終盤の進め方でもっとできたことがあったと自分に向けて振り返りました。
長谷部茂利監督も、チャンスを決め切れなかったことに加え、自身の交代の時機や人選を反省点として挙げています。追いついた川崎Fと、追いつかれた鹿島。立場は違っても、試合後に両監督がまず自分の判断へ目を向けたのが印象的でした。
6得点の試合は、映像で見返せば楽しい場面がたくさんあります。でも私の中に長く残りそうなのは、歓声のあとに混じった悔しさです。川崎Fはもっと早く決めたかった。鹿島は最後まで締めたかった。その両方がぶつかった末に生まれた3-3だから、90+7分の一球がこんなに鮮やかに見えたのだと思います。