長谷川唯と長野風花が向き合った雨の6ゴール。マンチェスター・シティ対リヴァプール雑感
WSL第3節、雨に濡れたジョイ・スタジアム。中盤での日本人対決が続く間に、リードは何度も入れ替わりました。山下杏也加が守るゴール前の攻防、62分から入った藤野あおば、そして90分に訪れた決着の瞬間。最後まで結末の読めなかった夜に、心が動いた場面を並べています。
最終スコアだけを見れば、マンチェスター・シティの4-2。でも、こんなに落ち着かない4-2もなかなかありません。
現地時間9月18日、雨のジョイ・スタジアムで行われたWSL第3節のマンチェスター・シティ対リヴァプール。長谷川唯、山下杏也加、長野風花が先発し、藤野あおばも後半からピッチに入りました。日本の選手があちこちにいるうれしさと、最後まで結末を読ませない試合の怖さ。その両方で胸がいっぱいになった夜でした。
13分から前半終了間際まで、気持ちが追いつかない
先に試合を動かしたのはシティでした。13分、ローレン・ヘンプが左からの折り返しを受け、ゴール右へ流し込みます。流れるような攻撃がきれいにつながり、シティがいい形で試合に入ったように見えました。
ところが、リヴァプールは19分にアリス・ベリストロームが決めて追いつくと、28分にはヴィヴィアン・エンデマンが逆転ゴール。山下が守るゴールへ立て続けにボールが飛び込み、試合の空気が短い間にくるくると変わっていきます。ゴール前だけを追っていたら、こちらが呼吸を整える暇もないほどでした。
それでも前半45+2分、ヘンプのシュートをGKキアラ・キーティングがはじいたところへカディジャ・ショー。シティが2-2に戻してハーフタイムを迎えます。前半だけで四つのゴールが生まれたのに、どちらが試合を握ったのかは簡単に言えない。そんな不思議な45分でした。
長谷川唯と長野風花、同じ90分の別の景色
長谷川と長野は、ともに先発してフル出場しました。華やかな得点の応酬から少し視線を引いてみると、両チームの中央に日本人選手が立ち続けている光景が、じわじわとうれしくなります。
後半には、長谷川が深い位置から送ったクロスがそのままゴールへ向かい、キーティングが手ではじき出す場面もありました。派手な突破とは違うのに、一つのキックで急にゴールの匂いが濃くなる。長谷川らしい怖さを感じた場面です。
反対側の長野は、リヴァプールが勝ち越した28分の起点になりました。中盤でボールを奪い、自分で運んでから右サイドへ展開したところから、あの逆転ゴールが生まれています。押し込まれる時間帯にも、すぐそばには水色の選手がいる。その窮屈さの中でプレーを続ける姿に、私はつい力が入ってしまいました。
山下はシティのゴールを最後まで守り、藤野は62分から出場。ひとりの大きな見せ場だけではなく、違う役割を担う日本の選手たちが、この速さと強度の中にいる。そのこと自体が頼もしく映りました。
90分、引き分けの夜が一気に変わった
後半は長く2-2のまま進みました。シティが迫ればリヴァプールが体を張り、リヴァプールにも前へ出る場面がある。試合が終盤へ入るほど、「このまま分けるのかも」という気持ちが大きくなっていました。
決着したのは90分です。途中出場したグレース・クリントンのクロスがグレース・フィスクに当たり、オウンゴールになりました。最後まで守ってきたリヴァプールには、あまりにも苦い形です。
さらに90+5分、前がかりになったリヴァプールの背後をヘンプが走り抜け、この日二つ目のゴール。2-2だった試合が、ほんの数分で4-2になりました。
スコアだけを後から眺めると見落としそうですが、この試合にはリヴァプールが勝ち越していた時間も、引き分けが長く続いた時間もありました。最後の数字にたどり着くまでの揺れこそ、いちばん心に残っています。
雨のマンチェスターから、次はドイツへ
雨のWSLから欧州初戦へ向かう気持ちを表したイメージ。AI生成イラスト(実際の試合場面ではありません)。
シティは現地時間9月22日、UEFA女子チャンピオンズリーグのリーグフェーズ初戦でバイエルン・ミュンヘンと対戦します。会場はミュンヘン近郊のシュポルトパルク・ウンターハッヒング。バイエルンには谷川萌々子が所属しています。
この雨の一戦で90分を戦った長谷川と山下、途中から流れへ加わった藤野。そしてドイツで待つ谷川。同じピッチに立つ場面があれば、それぞれがクラブで磨いているものを一度に見られる時間になります。
目まぐるしかったWSLの夜が終わったと思ったら、もう欧州の舞台が待っている。その切り替わりの速さまで含めて、海外で戦う日本の女子選手たちを追う面白さを感じています。