運営者の雑感

ベトナム戦8得点の翌日に石井正忠コーチ就任。アジア大会のなでしこに続いた二つの新しさ

9月17日、エコパでのベトナム戦は8-0。神谷千菜のミドル、初出場4人の躍動、3つの代表初ゴールが並んだ夜に、狩野倫久監督が口にしたのは強度という言葉でした。翌日には石井正忠さんのコーチ就任と10月帯同の知らせ。ピッチの熱と新体制の知らせを、どう受け止めればいいのか迷っています。

夕暮れのスタジアムで、抱き合って得点を喜ぶ女子選手たちと、タッチライン際でそれを見守るスタッフの後ろ姿を描いたイラスト
イラスト: OpenAI

8-0の翌日に、石井正忠さんのコーチ就任が発表されました。ピッチでは新しい名前が次々に得点し、その外側では10月から加わるスタッフの知らせ。なでしこジャパンに「これから」を感じる出来事が二日続いて、うれしいのに少し背筋も伸びました。

スコア以上に残った、8得点の違い

9月17日、第20回アジア競技大会のグループステージ第2節。日本は静岡県の小笠山総合運動公園エコパスタジアムでベトナムと対戦し、8-0で勝ちました。

12分、神谷千菜選手がペナルティーエリア付近からミドルシュートを決めて先制。19分は右CKからのサインプレーで、伊東珠梨選手の低いクロスを塩越柚歩選手が流し込んで加点。44分のオウンゴール、45+2分の浜田芽来選手のヘディングで前半を4-0で終えました。

後半も52分に神谷選手が左足のボレー。79分に西尾葉音選手のヘディング、82分に成宮唯選手のループシュートが続き、90+2分には祐村ひかる選手が鈴木菫選手とのワンツーから締めくくりました。

ミドル、セットプレー、クロス、ボレー、連係からのフィニッシュ。得点の形が一つに偏っていなかったところに、私はスコアとは別の面白さを感じました。次は誰が、どこから入ってくるのだろう。そんな楽しみが途切れない試合でした。

デビューの緊張を押し返した選手たち

祐村選手と辻澤亜唯選手は先発で代表デビュー。後半から入った鈴木選手と大箸桜子選手も初出場を果たしました。さらに、浜田選手、西尾選手、祐村選手には代表初ゴールが生まれています。

初めて代表のピッチに立つだけでも、きっと普段とは違う緊張があるはずです。その日に得点や得点につながるプレーまで残した姿には、見ているこちらまで胸が熱くなりました。

なかでも心に残ったのは浜田選手です。本人によるとセンターバックでのプレーは初めてで、日本が攻めている時間にも相手の速い選手への対応を考え、ボールを持ったときは前を見ることを意識していたそうです。そのうえで前半終了間際に、高い打点のヘディングで初ゴール。慣れない役割に向き合いながら自分の持ち味も出す姿が、とても頼もしく映りました。

一方で、狩野倫久監督は得点と勝点には満足しつつ、試合全体の内容や質には満足していないと振り返りました。ノックアウトステージでは強度が重要になるとも話しています。大きなスコアのあとに課題へ目を向ける言葉があったことで、この試合がゴール集だけでは終わらなかった気がします。

石井正忠コーチの話は、別の時計で見る

ベトナム戦の翌日、JFAは石井正忠さんのコーチ就任を発表しました。帯同は10月の代表活動からです。今回のアジア競技大会にはまだ加わっていないので、8-0の試合と新体制の話は分けて受け止めたいところです。

石井さんは2015年から2017年まで鹿島アントラーズを率い、2016年にはJ1優勝とJリーグ最優秀監督賞を経験しました。その後はタイのクラブやタイ代表でも監督を務めてきました。

就任コメントでは、狩野監督のビジョンを支え、選手が力を発揮できる環境づくりに取り組むと語りました。具体的にどの領域を担うのかは発表されていません。だからこそ、これまでの経験を先に役割へ当てはめるより、狩野監督や選手たちとの間でどんな変化が見えてくるのかを丁寧に追いたいです。

「8」の次に見たいもの

日本はタイ戦とベトナム戦の2試合で16得点、無失点。すでにノックアウトステージ進出を決め、9月21日に同じエコパスタジアムでチャイニーズ・タイペイと対戦します。

次に私が見たいのは、得点数だけではありません。ボールを失った直後の反応や、交代後も続く立ち位置の共有、最後のパスの精度。狩野監督が口にした「強度」が、具体的にどんなプレーとして表れるのかに注目しています。

8得点の中には、いくつもの「初めて」がありました。そして10月からは、新しいコーチとの時間が始まります。ピッチの上の初めてと、これから加わる視点。どんな景色につながるのか、わくわくしながら見届けたいです。

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