運営者の雑感

宝田沙織、2分と36分。前半4発と静かな後半――アジア大会・なでしこ対フィリピン4-0雑感

26分は塩越柚歩の右CKから上野真実、前半アディショナルタイムには神谷千菜が4試合連続弾。一方でハーフタイムの5人交代後、後半は無得点のまま。フィリピン指揮官が手応えを語った45分に何を感じたのか、9月29日の韓国戦へ持っていきたいものは。

夕暮れのスタジアムで抱き合う青いユニフォームの女子選手たちを描いたイラスト
イラスト: OpenAI

4-0。数字だけなら、すっきりした準決勝進出です。でも私の中に残ったのは、前半のまぶしいほどの速さと、後半の少しもどかしい静けさ。その両方が同居した90分でした。

9月25日、小笠山総合運動公園エコパスタジアムで行われたアジア競技大会準々決勝。なでしこジャパンはフィリピン女子代表に4-0で勝ち、4強へ進みました。

2分の先制点から、違う形で重ねた4得点

最初のゴールは開始2分でした。塩越柚歩の左CKを瀬野有希が頭で合わせ、そのこぼれ球に宝田沙織。まだ試合の空気が落ち着く前に、ゴール前へ人数をかけた形が実りました。

26分は、塩越の低い右CKに上野真実がニアで合わせて2点目。36分には成宮唯の高い位置でのボール奪取から攻撃へ移り、相手のクリアに宝田が右足で直接合わせました。宝田の一撃は豪快なのに、ボールへ入るタイミングには不思議なくらい落ち着きがあって、思わず声が出ました。

前半45+2分には、右CKの流れから浜田芽来が頭で折り返し、神谷千菜がヘディング。神谷はこれで大会4試合連続得点です。ただ、印象に残ったのは個人の記録だけではありません。4点のうち3点はCKから、残る1点はボール奪取からの速い攻撃。同じセットプレーでも、ニアで合わせる形、折り返しに反応する形と、ゴールまでの入り方が少しずつ違ったことがうれしかったです。

前半と後半、同じ4-0にあった二つの表情

中央のボールを挟み、左の速い攻撃と右の落ち着いた展開を対比したイラスト 前半の速い攻撃と後半の落ち着いた試合運びを対比したイメージ。AI生成イラスト(実際の試合場面ではありません)。 ハーフタイムに狩野倫久監督は5人を交代させ、瀬野、塩越、浜田、神谷、宝田がピッチを離れました。62分にも上野から柳瀬楓菜へ交代。後半は新しく入った選手たちがボールを持つ時間をつくった一方、スコアは動きませんでした。

前半の強いアクセルから、後半はボールを失わずに試合を整える方向へ表情が変わったように見えました。連戦の中で多くの選手がピッチに立てたことにはほっとします。でも、新しく入った組み合わせで最後の一線をどう越えるかは、もう少し見たかったというのが正直な気持ちです。

フィリピンのマーク・トルカソ監督は、試合後にこう振り返っています。

“We conceded too early against a fantastic team like Japan, and those are not the kinds of goals we usually give up,” Torcaso said. “But the girls came out in the second half and were excellent — we defended well and created chances of our own.” (訳)「日本のような素晴らしいチームを相手に、あまりにも早く失点してしまいました。ああいう失点は、普段の私たちなら許さないものです。でも選手たちは後半に入って素晴らしい姿を見せました。よく守り、自分たちでもチャンスをつくりました」

— マーク・トルカソ(フィリピン女子代表監督)、Philippine Football Federation(2026年9月25日の試合後)

私はこの言葉を読んで、後半を日本側の都合だけで片づけたくないと思いました。フィリピンが立て直し、守備の距離を整えながら前へ出ようとした時間でもあったからです。相手が変化したときに、こちらがもう一度テンポを上げられるか。無得点の45分にも、次に見たいものが詰まっていました。

24得点0失点は、韓国戦の答えではない

日本はタイに8-0、ベトナムに8-0、チャイニーズ・タイペイに4-0、そしてフィリピンに4-0。4試合で24得点、失点はありません。積み重ねた数字には、素直に拍手を送りたいです。

ただし、その数字を9月29日の準決勝の答えにはしたくありません。韓国は準々決勝でウズベキスタンに6-3で勝利しましたが、その結果だけで次の展開を決めつけることもできません。日本対韓国は29日19時30分、同じエコパスタジアムで行われます。

私が見たいのは、序盤から相手の守備を動かす落ち着きと、選手が入れ替わったあとにも得点へ向かう道をつくり直す姿です。前半の華やかさも、後半に残った小さな引っかかりも抱えたまま、火曜の夜を待ちたいと思います。

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