鈴木彩艶、CL初完封でも39分のキックは「理想」ではなかった――ヴィラ対フェネルバフチェ6-0雑感
鈴木彩艶がCLで初めて無失点に抑えたヴィラ対フェネルバフチェ。6-0の大勝の前にあった15分と17分のピンチ、39分のロングフィードをたどる。本人が口にした「関わる時と関わらない時」とは何か。現地の評価と憧れのエデルソンへの言葉から、ゴール前での判断に目を向けたくなる一戦。
39分、鈴木彩艶のキックから始まった攻撃が3点目に。それでも本人は「理想としている形ではなかった」と振り返っています。得点につながった一本と、ゴール前でのプレーから、鈴木が何を見て判断していたのかを考えたくなりました。試合後の本人談話
現地10月14日、日本時間15日の欧州チャンピオンズリーグ(CL)・リーグフェーズ第2節。アストン・ヴィラはホームでフェネルバフチェに6-0で勝ち、鈴木は自身初となるCLでの無失点を記録しました。クラブ公式
私なら、得点につながっただけでうれしくなってしまいそうです。本人の言葉からは、得点という結果とは別に、自分のキックの出来を見つめているように感じました。その違いが心に残りました。まずは、まだ1-0だった時間に見せた二つのセーブへ戻ってみたいです。
15分と17分、まだ1-0だったゴール前
前半の二つのセーブには、「止めてくれた……!」という安堵がありました。6-0という点差からは想像しにくいかもしれませんが、まだ1点差だったゴール前には、ひやりとする場面が続いていたんです。
12分にヨハン・マンザンビが先制。その3分後、今度は相手のコーナーキックから、ヴェダト・ムリキに誰にも競られずヘディングされます。これを鈴木が止めました。試合報告 先制して少しほっとしたところで、あれだけ自由に打たれると怖い。だからこそ、ボールを防いだ姿に気持ちがほどけました。
さらに17分には、守備の選手たちの背後へ抜け出したムリキと1対1に。鈴木は前へ出て、そのシュートも防ぎます。本人は試合後、相手がボールを止めた際に足元から大きく離れたところを狙い、体を寄せられたと説明しています。本人の試合後談話
体を張って止める迫力に目を奪われましたが、相手に近づくきっかけを見ていた、という話にも惹かれました。飛び出す勇気だけでなく、相手の足元を見る落ち着きもあったんだな、と感じます。
Villa always held control but had Suzuki to make sure of it. (訳)ヴィラは終始主導権を握っていたが、それを揺るがないものにしたのが鈴木だった。
— BBC Sport配信記事(AOL掲載)(2026年10月14日)
この見方には、私もうなずきました。攻める側の得点が増えていく試合にも、ゴール前で主導権を支える仕事がある。二つのセーブを振り返ると、この夜の無失点を喜ぶ気持ちが、もう少し深くなります。
39分のロングフィード、その先にあった奪い返し
3点目につながった鈴木の長いキックには、胸が躍りました。その先にあった味方の奪い返しとつなぎまでたどると、この得点のうれしさがもう一つ増えます。ゴールまでには、いくつものプレーが重なっていました。
31分、ニコラス・ジャクソンが追加点を決めて2-0に。そして39分、鈴木が遠くへ送ったボールは、右サイドで相手ゴールに近い位置にいたマティ・キャッシュへ渡ります。その後、ヴィラが人数をかけてボールを奪い返し、再びジャクソンがシュート。これが3点目になりました。試合報告
GKのキックが遠くの味方まで届くと、私はつい、そのボールを目で追ってしまいます。蹴った鈴木にも、その先をゴールへつないだ選手たちにも、拍手です。
鈴木自身は、理想としている形ではなかったものの、結果的に得点につながったことはよかったと振り返っています。本人の試合後談話
得点に関われた喜びと、自分のキックへの評価。その二つは、本人の中では分けて考えられているように感じました。ゴールに夢中になっていた私は、そこで少し立ち止まりました。どの味方へ、どんなボールを届けるのが理想だったのか。そこは、まだ気になるままです。
それでも、この3点目は素直に喜びたいです。
「関わる時と関わらない時」に目が留まった
GKが攻撃に加わることと味方に任せること、その判断を表したイメージ。AI生成イラスト(実際の試合場面ではありません)。
この試合で私がいちばん考えたのは、どれだけ遠くへ蹴れるかよりも、いつ自分がプレーに関わるかという鈴木の判断でした。長いキックを喜んだあとで、その一本を出すまでの時間も気になってきたんです。
鈴木は、相手が自分たちのゴールに近いところで守っていたため、自分が関わる場面は多くなかったと説明しています。そのうえで、関わる時と関わらない時を判断できているという手応えを話し、さらにプレーの質を上げたいとも述べています。本人の試合後談話
私はこの「関わる」を、味方がボールを持っているときにパスを受けるなどして攻撃に加わることだと受け取りました。どうしても、シュートを止めた瞬間や、ボールが遠くへ飛んでいく瞬間に見入ってしまいます。でも、この言葉を聞くと、自分からボールに関わる場面を選ぶことにも興味が湧きます。触る回数だけを追っていたら、気づけない楽しみがありそうです。
17分の飛び出しで、相手の足元を見ていたという話を思い出しました。
守る場面と攻める場面では、見ているものも違うと思います。それでも、二つの話を聞いて私の中に残ったのは、プレーを起こす前に何を見ていたのだろう、という問いでした。セーブとキックを別々に楽しんでいた私には、その手前にある判断から二つをつなげて考えるのが新鮮でした。
次は、味方がボールを持っている間も、鈴木へ少し視線を移してみたいです。どこに立ち、周りをどう見ているのか。私は派手な場面ばかり見ていたかも、と気づいたら、ボールに触れる前の時間まで楽しみになってきました。
初完封を喜びながら、憧れのGKの先へ
CL初完封という節目に、鈴木がこれから磨きたい技術も聞けた。それが、この試合を振り返る手がかりになりました。
鈴木がCLの試合を無失点で終えたのは、今回が初めてです。クラブ公式 さらに本人は、前半に失点しなかったことがこの結果につながったと振り返っています。本人の試合後談話 私がほっとした場面を、本人も試合の大事な場面として挙げていたことにうなずきました。
この日、相手のゴールを守っていたのはエデルソンでした。鈴木は憧れていた選手の一人だと話し、対戦できた喜びを語っています。さらに、エデルソンのキックの精度と、シュートを止める技術に触れ、自分もそうした選手になれるよう突き詰めていきたいと述べました。本人の試合後談話
エデルソンの長所として鈴木が挙げたキックと、シュートを止める技術は、この日の39分のキックと15分・17分のセーブにそのまま重なります。憧れを語りながら、その両方を磨いていこうとする姿に頼もしさを感じました。
次のCLで、鈴木が遠くの味方へどんな一本を届けてくれるのか、楽しみです。