ヤングなでしこの粘りと悔しさ。U-20女子W杯2026 イタリア戦・北朝鮮戦の雑感
イタリア戦の終盤に追いついた粘りと、前半を耐えた北朝鮮戦で待っていた後半の4分間。ヤングなでしこのU-20女子W杯2026を、心に残った選手たちの奮闘や交代策への率直な思い、この世代に感じた可能性も交え、ひとりのサッカーファンとして振り返ります。
ポーランドでの挑戦が、ベスト16で終わりました。
最後の北朝鮮戦は0-2。悔しいし、正直に言えば「もっとできたんじゃないかな」という思いも残っています。でも、イタリア戦で見せた粘りや、苦しい時間にも走り続けた選手たちの姿まで、結果だけで小さくまとめたくはありません。
今回は、グループステージ最終戦のイタリア戦と、ラウンド16の北朝鮮戦を中心に、ひとりのサッカーファンとして感じたことを書きます。
| 試合 | 結果 | 日本の得点 |
|---|---|---|
| グループD第3節・イタリア戦 | 1-1 | 田子夏海(80分) |
| ラウンド16・北朝鮮戦 | 0-2 | なし |
1-1なのに、すごく前向きな気持ちになれたイタリア戦
イタリア戦の日本は、立ち上がりから前へ進む意識がはっきりしていました。
中村心乃葉選手がボールを持って仕掛け、原ひばり選手が高い位置まで出て攻撃に厚みをつくる。相手を横に揺さぶるだけではなく、「空いたら縦へ」という姿勢が見えて、観ているこちらまでどんどん試合に引き込まれました。
だからこそ、59分にPKで先制されたときはかなり苦しかったです。内容が悪くないのに、スコアだけが相手へ動いてしまう。サッカーって、こういう残酷さがあるんですよね。
それでも日本は下を向きませんでした。73分に入った田子夏海選手が、80分にコーナーキックの流れから同点ゴール。眞城美春選手のパスを受け、いったんボールを収めてから左足を振り抜きました。
一度トラップする冷静さと、混戦の中でも迷わず打ち切る強さ。あの一連のプレーには、技術だけではなく「ここで終わらせない」という気持ちまで詰まっているように見えました。1-1の引き分けでグループ2位通過。それ以上に、苦しい展開を自分たちで動かしたことがうれしかったです。
北朝鮮戦、前半0-0だったからこそ悔しい
粘りと苦しさを対比したイメージ。AI生成イラスト(実際の試合場面ではありません)。
ラウンド16の相手は、前回大会王者の北朝鮮。日本は、相手のロングボールや強いシュートを警戒して、いつもより重心を低くしているように見えました。
前半は0-0。押し込まれる場面でも、佐野杏花選手と朝生珠実選手が身体を張り、最後はキャプテンの岩崎有波選手が止める。決して楽ではなかったけれど、狙いは機能しているように感じました。
ただ、後半は北朝鮮の圧力が一段上がります。寄せの速さ、ボールを失った直後の切り替え、こぼれ球への反応。ひとつひとつのプレーが途切れず、波のように次の攻撃が来る。その強度に少しずつ押し込まれ、65分と69分、わずか4分の間に2点を失いました。
前半を耐えられていただけに、この4分間が本当に重かったです。北朝鮮の完成度は高かった。でも、日本にも流れを変える可能性はあったはず。だから、ただ「相手が強かった」で片づけるには、もったいない試合だったと思います。
もう少し早く、違う一手を見たかった
これは結果を知ったあとだから言えることでもあります。それでも、ベンチが動くタイミングには少し引っかかりました。
最初の交代は、1点を追う68分の松永未夢選手。ところが、その直後の69分に2点目を奪われます。次の交代は73分で、残る3枚が動いたのは85分でした。北朝鮮が後半のギアを上げた時間帯に、先にこちらからリズムを変える方法はなかったのかな、と考えてしまいます。
特に松永選手は、初戦のニュージーランド戦で途中出場から2得点。アメリカ戦とイタリア戦でもベンチから流れを変える役割を担いました。もちろん、途中から効く選手だからこその起用だったはずです。それでも最後の一戦では、もっと早く送り出す、あるいは先発から違う景色をつくってもらう選択も見てみたかった。これは監督を一方的に責めたいのではなく、それだけ彼女のプレーに期待していた、という私の率直な気持ちです。
走り続けた選手たちが残してくれたもの
今大会で特に心に残ったのは、本田悠良選手の運動量でした。攻撃では味方を追い越し、ボールを失えば自陣深くまで戻る。目立つプレーだけではなく、チームの形が崩れそうなところを何度も埋めていました。
佐野選手の対人守備とカバー、岩崎選手の落ち着いたセーブも頼もしかったです。そして田子選手。イタリア戦の同点弾だけでなく、北朝鮮戦でも身体をぶつけられながら前線で踏ん張る姿に、何度も「もう一回!」と応援したくなりました。
大会前には、板村真央選手がコンディション不良で離脱するアクシデントもありました。その状況で、グループステージを1勝2分の無敗で突破したことは、もっと胸を張っていいと思います。
この涙は、きっと次の代表へつながっていく
目標にしていた優勝には届かず、ベスト16で大会を去ることになりました。負けた直後に前向きな言葉だけを並べるのは、少し違う気もします。悔しいものは、やっぱり悔しいです。
でも、この世代のサッカーはここで終わりではありません。本田選手も、佐野選手も、田子選手も、岩崎選手も、ここから所属クラブでさらに経験を重ねていきます。いつか、なでしこジャパンのピッチで「あのポーランド大会があったから」と思える瞬間が来たら、こんなにうれしいことはありません。
イタリア戦で追いついた粘りも、北朝鮮戦で突きつけられた課題も、どちらもこのチームが世界で戦った証し。悔し涙まで含めて、次の一歩を応援したくなる大会でした。