試合数が違う順位表――2026/27 WEリーグ序盤、若い名前が増えた秋
9月27日、浦和は新潟Lと1-1からPK戦へ進み、INAC神戸では認定から間もない高岡澪が後半のピッチに入った。11月開幕の皇后杯は、15年ぶりとなる天皇杯との元日同日開催へ。リーグ戦とは違う表情と新しい名前が交差する秋、その先にはどんな景色があるのか。
4分。まだ試合の空気をつかもうとしているような時間にスコアが動き、37分までに浦和の得点は3つに増えていました。9月5日のWEリーグ第3節を見ながら、「今季は始まりからずいぶん速いな」と、ちょっと目が追いつかない気持ちになりました。
でも、速いのは一試合の時計だけではありません。9月27日17時57分の順位表を見ると、浦和、日テレ・東京ヴェルディベレーザ、サンフレッチェ広島レジーナが3試合を終えている一方、INAC神戸レオネッサとAC長野パルセイロ・レディースは4試合を消化しています。同じ順位表の中でも、それぞれが立っている場所は少しずつ違います。
だから序盤戦を、ひとことで「上位争い」と片づけるのはまだ早そうです。試合数のずれ、その間に巡ってきた若い選手の出場機会まで含めて、この秋に見え始めた景色を考えてみます。
三つ巴と呼ぶ前に、順位表の試合数を見る
いまの順位表は、勝点だけを上から読むと少し見誤りやすいです。浦和が首位に立つ一方、9月2日に第7節を先に戦ったINAC神戸とAC長野は、どちらも4試合を終えています。上位争いに目を向けると、浦和や日テレ・東京ヴェルディベレーザ(東京NB)の3試合と、INAC神戸の4試合で積み上げた勝点は、同じ条件の数字ではありません。
浦和は開幕から、大宮に1-0、ノジマステラに5-1、東京NBに3-1で勝利しました。3試合で9得点2失点、勝点は9です。リーグ戦の勝点は、勝てば3、引き分けなら1、負けると0が加わります。ここまで3試合すべてで勝点3を得た浦和が、首位にいるのは素直に目を引きます。東京NBは2勝1敗の勝点6で、7得点5失点の3位です。
一方、INAC神戸は通常の第1節から第3節に加え、第7節のAC長野戦を9月2日に先行して行いました。AFC女子チャンピオンズリーグのグループステージに出場するため、日程が前へ動いたからです。4試合を終えて勝点7なので、順位は2位でも、浦和との勝点差「2」だけを見て距離を測ることはできません。
昨季の最終順位はINAC神戸が1位、浦和が2位、東京NBが3位でした。この並びを見ると、今季もこの3クラブを中心に考えたくなる気持ちは分かります。私も最初はそうでした。でも、今季の順位表では広島も東京NBと同じ勝点6です。まだ「いつもの3クラブ」に視線を絞る段階ではないように感じます。
昨季の順位は背景として覚えておきたい。でも、今季の3試合と4試合をそのまま横に並べない。10月以降にそれぞれの対戦が進むまでは、これはまだ形の違う途中経過なのだと思います。
準備した立ち上がりと、後半に残った宿題
この3-1で、浦和は練習してきた試合の入り方を前半から表していたように見えました。それが3得点という形で現れた一方、後半まで思いどおりに進められたわけではありません。華やかな前半と、そこから見えた宿題を一緒に振り返りたい試合です。
最初にスコアを動かしたのは、4分の榊原琴乃でした。浦和は28分に大西若菜、37分に伊藤美紀が加点します。短い間に点差が開きましたが、東京NBも39分に氏原里穂菜が1点を返しました。前半だけで両チーム合わせて4得点。ところが、後半はどちらにも得点が生まれず、そのまま3-1で終わりました。
浦和の堀孝史監督によると、過去2試合では立ち上がりがうまくいかなかったため、この試合へ向けて入り方を練習していたそうです。一方で、後半に東京NBが攻める力を強めた時間には、もう少し自分たちで試合を落ち着かせたかったとも話しています。
ただ、まだ開幕して3試合なので、これからもいろいろな課題が出てくると思います
— 堀孝史監督、三菱重工浦和レッズレディース公式(2026年9月5日)
3点を先に取った直後でも、「まだ3試合」と区切る慎重さに私はうなずきました。前半の得点だけを見れば、とてもきれいな勝ち方です。それでも後半には、相手に押されたときにどう試合を整えるかという次の課題が残っていました。
東京NBの楠瀬直木監督は、立ち上がりに相手の力にのまれたと振り返る一方、若いメニーナの選手たちは堂々とプレーしたと評価しています。メニーナは東京NBの育成年代のチームです。
負けた側にも、若い選手が厳しい試合を経験した時間がありました。浦和には前半の手応えと後半の宿題が残り、東京NBでは新しい選手が一歩を踏み出した。私には、3-1という数字だけでは閉じられない90分に見えました。
カップ戦で見えた、もう一つの表情
クラシエカップ(WEリーグカップ)に目を移すと、リーグ戦の順位とカップ戦の結果は、そのまま重なりませんでした。結果が揺れる一方で、新しく加わった選手にも役目が渡る。順位表だけでは見えない、もう一つの表情がここにあります。
今季のカップ戦では、12クラブが一つのリーグに入り、それぞれ異なる8クラブと対戦します。全試合を終えた時点の上位6クラブが、負ければ敗退となる準々決勝へ進む仕組みです。90分で同点なら引き分けでは終わらず、PK戦を実施。90分で勝てば勝点3、PK戦で勝てば2、PK戦で敗れれば1が加わります。
9月27日の第4節では、浦和が新潟Lと1-1で90分を終え、PK戦を3-4で落としました。浦和は前半終了間際の45+4分にサンシャイン・フォンテスが先制。新潟Lは67分、滝川結女が追いつきました。リーグ戦で前半に得点を重ねた浦和が、カップ戦では追いつかれてPK戦まで進む。そこに別の難しさが見えました。
同じ日、INAC神戸は広島に0-3で敗れました。44分に瀧澤千聖、59分に伊藤めぐみ、90+3分に松本茉奈加が得点しています。リーグ戦の順位だけを見ていたら想像しにくい結果が、同じ日に二つ並びました。
ただ、リーグ戦とカップ戦の結果を混ぜ、クラブの強さを一つの言葉で決めたくはありません。大会が違えば、試合ごとに向き合う課題も変わります。カップ戦は結果が揺れる難しい舞台であると同時に、出場した選手が次の選択肢になっていく途中を見られる場所でもあると感じます。
そしてINAC神戸対広島では、発表されたばかりの高岡澪にも役目が渡されていました。彼女に何が求められたのかを見ると、カップ戦が持つもう一つの意味がはっきりします。
発表から11日、高岡澪がピッチに立った
新しいユニフォームが実戦の選択肢に加わる瞬間を表したイメージ。AI生成イラスト(実際の試合場面ではありません)。
INAC神戸が高岡澪を特別指定選手として発表してから、カップ戦のピッチに立つまで11日でした。発表で初めて知った名前が、すぐに実戦で使える選択肢になった。その近さが、今季のWEリーグを楽しむ新しい入口になりそうです。
JFA・WEリーグ特別指定選手とは、大学や高校など元のチームに登録したまま、受入先となるWEリーグクラブの公式戦にも出場できる制度です。所属先をすぐに移すのではなく、より高い段階の試合を経験できる道が用意されます。
9月には認定の発表が続きました。神奈川大学の安藤麻耶はジェフ千葉レディース、山梨学院大学の城山にこはサンフレッチェ広島レジーナが受入先です。二人とも9月11日付で認定されました。
東洋大学の高岡も同じ9月11日付で認定され、INAC神戸が16日に特別指定選手として受け入れると発表しました。
その広島戦で宮本ともみ監督は、高岡にまず得点を求めていたと説明しています。それに加え、相手が後ろからパスをつなぐ時に前から近づき、自由にプレーさせない役割も期待して送り出したと、試合後コメントで明かしました(INAC神戸公式)。
ゴール前で点を決める嗅覚を持っているとトレーニングの中で感じていました
— 宮本ともみ監督、INAC神戸公式(2026年9月27日)
この評価を読んで、発表から11日という短さが急に現実味を持ちました。名前が選手一覧に加わっただけではなく、得点と守備の両方で試合の流れを変える役目まで託されていたからです。次にどんな場面で出番が巡るのか、楽しみが一つ増えました。
9月25日には、東洋大学の遠藤有紗も東京NBの特別指定選手として発表されています。高岡が次にどんな場面で得点を求められるのか、遠藤にいつゴールを守る出番が巡るのか。登録発表の先にある具体的な起用が、これからの楽しみです。
この秋の名前を、元日の国立まで覚えていたい
序盤戦で出会った若い選手や、少しずつ変わっていく各クラブの姿。その続きを見守る楽しみは、2027年元日の国立競技場へつながっています。順位表だけでこの秋を閉じず、冬に待つ大きな舞台まで視線を伸ばしたいです。
女子サッカーの日本一を決める第48回皇后杯は、2026年11月14日に開幕します。決勝は2027年1月1日、東京のMUFGスタジアム(国立競技場)で開催されます(JFA公式)。リーグ戦やカップ戦で見てきたクラブが、今度は負けたら終わりの大会に挑むことになります。
同じ日には、男子の天皇杯決勝も行われます。両大会の決勝が前回同じ元日に国立競技場で開催されたのは、2012年1月1日でした。2011年度の第91回天皇杯と、第33回全日本女子サッカー選手権大会の決勝です。2027年元日の同日開催は、それ以来15年ぶり。二つの決勝は、どちらもNHKで生中継されます(JFA公式)。
元日の国立と聞くと、どのクラブがそこに立つのだろうと想像したくなります。でも皇后杯への道は、まだどのチームにも続いています。まず待っているのは11月14日の開幕です。高岡に再び出番が巡るのか、リーグで首位の浦和と昨季王者INAC神戸が皇后杯ではどんな相手と向き合うのか。最初の笛を、冬へ向かう新しい物語の始まりとして迎えたいです。