運営者の雑感

90+6分の長野星輝、105+1分の上島拓巳――ルヴァン杯2回戦・FC大阪対福岡1-2雑感

ルヴァンカップ2回戦は、FC大阪の主管試合でありながら山口開催。スコアが84分まで動かなかった一戦は、途中出場の選手と二つのセットプレーで表情を変えました。J1勢3クラブが敗れた他会場の結果も重ね、FC大阪対福岡の終盤に残った悔しさと粘りを振り返ります。

雨の夜のスタジアムで、背番号のない二人の選手が中央のボールを追うイラスト
イラスト: OpenAI

90+5分、木村大輝の左CK(コーナーキック)は小畑裕馬にクリアされました。ところが次の90+6分、今度は右から木村が送り、長野星輝が頭で同点。私も思わず声が出ました。でも、この夜はそこで終わりません。延長前半の105+1分、今度は上島拓巳のヘディングが決まりました。J3(3部)のFC大阪とJ1(1部)の福岡が向き合った一戦を、この二つの終了間際を軸に振り返ります(J3 2026/27の順位表、J1 2026/27の順位表)。

2026年9月29日のルヴァンカップ1stラウンド2回戦は、84分に前田快が福岡の先制点を挙げ、長野が追いついたあと、上島の得点でFC大阪が福岡に延長1-2で敗れました。同点の喜びが消えないうちに、また胸がざわついた120分。うれしさと悔しさの切り替わる速さに、私の気持ちはなかなか追いつきませんでした。

大阪を離れた「ホーム」で、84分まで0-0

84分まで0-0。それでも、見せ場のないまま時間だけが過ぎた試合ではありませんでした。両チームが何度もゴール前へ進み、GK(ゴールキーパー)のセーブや体を張ったブロックで、ぎりぎりの均衡が保たれていたように見えました。

試合は9月29日19時03分、山口市の維新みらいふスタジアムで始まりました。入場者数は1,002人。FC大阪が主管、つまり試合運営を担当するホームゲームでしたが、会場は大阪ではなく山口でした(Jリーグ公式、アビスパ福岡公式)。FC大阪によると、東大阪市花園ラグビー場をはじめ、Jリーグの基準を満たす関西圏の会場が夏芝から冬芝へ切り替える期間や国際大会の利用と重なり、確保が難しかったため、維新みらいふスタジアムで開催することになりました(FC大阪公式)。事情が分かると、不思議さよりも、大阪でホームゲームを開けなかった残念さが残りました。

前半は0-0。後半が始まった直後の46分には、福岡の師岡柊生がペナルティーエリア手前から右足で枠内を狙いましたが、FC大阪のGK梅田陸空がセーブしました。

FC大阪にも前へ出る時間がありました。62分、長野星輝が左からドリブルでペナルティーエリア内まで入り、ゴール前へ送ったボールを宮大樹がブロック。65分には夏川大和が右から送ったボールに東家聡樹が合わせましたが、シュートはゴール左へ外れました。

そして74分、福岡の前嶋洋太と山脇樺織が続けて枠内へシュートを放ちます。小島雅也と鳥山陽斗がそれぞれ体に当てて防ぎ、75分には名古新太郎のコーナーキックに辻岡佑真が頭で合わせたものの、梅田がセーブしました(Jリーグ公式速報)。

75分の辻岡のヘディングを梅田が止めた場面では、次の一本が先制点になるかもしれないと身構えました。0-0でも、目を離せる時間ではありませんでした。

69分からの前田快、84分に試合を動かす

長く動かなかったスコアを変えたのは、69分から入った福岡の前田快と、試合開始からピッチに立っていた見木友哉でした。途中出場の選手と、そこまでの流れの中にいた選手。その二人の一つの連係が、84分に0-0を終わらせました。

前田は69分、椎橋慧也との交代で出場しました(Jリーグ公式速報)。交代から先制点までの15分間、スコアは0-0のまま。入ったばかりの前田がどこへ顔を出すのか。そこを追っていたところで、84分が来ます。

その均衡を破ったのが84分です。見木のアシスト――得点につながる最後のパス――を受けた前田が、ペナルティーエリア手前から右足を振り、ボールをゴール左下へ送りました(Jリーグ公式)。ためらいのない右足。ここで打ち切った前田の判断の速さに、「うまい」と声が漏れました。

この先制点が驚きだったのは、FC大阪が耐えるだけの時間の末に崩れたようには見えなかったからです。それだけに、交代で入った前田と先発の見木が一つのプレーで0-0を終わらせた瞬間、試合の見え方が急に裏返ったことにびっくりしました。

90+5分から90+6分、FC大阪がつないだ二度のCK

FC大阪は、一度はじかれたCKをそこで終わりにしませんでした。残り時間がほとんどない中でもう一度CKをつかみ、58分から出場していた長野星輝のヘディングで1-1に追いつきました。

長野は58分、ヴィニシウス・ソウザとの交代でピッチに入りました(Jリーグ公式速報)。

同点へ向かう流れは89分から続いていました。木村大輝がFK(フリーキック)でゴール前へ送り、東家聡樹がシュート。ボールはゴールの上へ外れましたが、FC大阪の攻撃は終わりません。90+5分、木村が左から蹴ったCKは福岡のGK小畑裕馬に防がれました。それでも直後に、今度は右からのCKを得ます。蹴るのは、もう一度木村でした(Jリーグ公式速報)。

90+6分、後半の追加時間に入って6分。木村が右から送ったボールに、長野がゴール前の中央で頭を合わせます。シュートはゴール右上へ入り、スコアは1-1になりました(Jリーグ公式)。入った瞬間、私は1-1のスコア表示を二度見しました。

一度目のCKを防がれた直後に二度目を取り、同じ木村が蹴り、途中出場の長野が仕上げる。私がうれしかったのは、終了間際に得点したことだけではありません。89分のFKから攻撃を切らさず、一つずつ次のプレーへつないだ。その粘りが、同点弾と同じくらい心に残りました。

105+1分、今度は福岡のFKから上島拓巳

FC大阪がCKで追いついて延長に持ち込んだあと、今度は福岡がFKから勝ち越しました。時間は延長前半の105+1分。得点したのは上島拓巳でした。同じように止まったボールから始まるプレーでも、FC大阪はCK、福岡はFK。その二つが試合の明暗を分けました。

先にゴールへ迫ったのは橋本悠です。延長前半103分、橋本がペナルティーエリア手前から枠内へシュートを放ちましたが、FC大阪のGK梅田陸空がセーブしました(Jリーグ公式速報)。梅田がまた防いだことで、私は「このまま1-1で延長後半へ行くかも」と思いました。

けれど、延長前半の終了間際に試合はもう一度動きます。105+1分、橋本がFKでゴール前へ送ると、中央に入った上島が頭で合わせました。ボールはゴール左下へ入り、福岡が勝ち越しました(Jリーグ公式)。103分に自分で狙った橋本が、今度は上島の得点を生むボールを蹴った。その短い時間のつながりも印象に残りました。

延長後半に得点は生まれず、FC大阪は1-2で敗れ、福岡が3回戦へ進みました(Jリーグ公式)。FC大阪が後半終了間際のCKでつなぎ直した試合を、福岡は延長前半終了間際のFKで再び動かした。同点のうれしさと勝ち越された悔しさが、あまりにも短い間隔で入れ替わります。カップ戦は一つのプレーでこんなにも気持ちを揺らすのかと、胸が苦しくなりました。

J1勢3クラブ敗退の夜、1-2にも残ったもの

三つの明るい門へ続く道と、閉じた門の前に金色の布を残すサッカーボールのイラスト 勝ち上がった3クラブと、敗退しても記憶を残したFC大阪を対比したイメージ。AI生成イラスト(実際の試合場面ではありません)。

J1勢3クラブが敗れたこの夜、見出しを飾ったのは勝ち上がったチームの名前でした。FC大阪の1-2はどんな試合だったのか。ここでは他会場の結果と公式スタッツを並べて見直します。

この日は2回戦の16試合が行われ、J1の長崎、千葉、東京Vが敗退しました。J3の鳥取がJ1の長崎に2-0、J2の磐田がJ1の千葉に4-2、J2の鳥栖がJ1の東京Vに延長2-1で勝っています。磐田は2点を返されて2-2とされたあと、66分に勝ち越し、85分にも加点しました(Jリーグ公式サマリー)。

FC大阪対福岡のボールを持っていた時間の割合は43%対57%、シュートは11対18でした。そのうちゴールの枠をとらえたシュートは1対6で、いずれも福岡が上回っています。一方、タックル――相手からボールを奪いにいく守備――はFC大阪が19回、福岡が12回。1対1で勝った回数も19対11でFC大阪が上でした(Jリーグ公式スタッツ)。

この数字だけで、FC大阪のほうが優位だったとは言えません。ボールを持つ時間やシュートでは福岡に差をつけられています。ただ、タックルと1対1の数字には、相手とぶつかる場面でFC大阪が簡単には引かず、食らいついた様子が残っています。結果は1-2でも、その中身まで一方的だったとは受け取りませんでした。私はそこに、FC大阪の意地を見ました。

3回戦は10月14日に行われ、福岡は鳥栖と対戦します(Jリーグ公式日程)。FC大阪の敗退が悔しいことは変わりません。それでも、カテゴリー名と勝者だけを追うと、長野星輝が終了直前に決めた同点弾はこぼれ落ちてしまいます。勝ち上がれなかった夜にも、覚えておきたい一球があった。そのことを、私はこの1-2から持ち帰りたいです。

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