森保監督の「勝てていた」と突破力の差――W杯日本対ブラジル1-2から11月の再戦へ
W杯ラウンド32の日本対ブラジルは1-2。10月17日の静岡で、森保一監督は冨安健洋や佐野海舟がヴィニシウスに対応した場面を振り返った。「勝てていた」という言葉は、どこから出てきたのか。相手監督の日本評とともに、11月14日のシンガポールでの再戦へ目を向ける。
1-2で負けたのに、勝てていたかもしれない? 森保監督のブラジル戦の振り返りに、私は「えっ」となりました。相手の強さをどう感じていたのか、続く言葉も気になります。
森保監督は10月17日、静岡市の科学技術高校で開かれたトークイベント「ワールドカップを終えて」に、武田修宏さんらと登壇しました。翌日の静岡放送(SBS)の記事は、この言葉を見出しにしています。
勝てていた試合かなと
— 森保一(日本代表監督)、静岡放送(2026年10月18日)
すぐにはうなずけないけれど、どこに勝つ可能性を感じたのかには興味が湧きます。
ブラジルとの差を聞かれたときは、こう答えています。
実はあまり感じてない
— 森保一(日本代表監督)、スポニチアネックス(2026年10月17日)
ここでも私は立ち止まりました。ただ、監督は相手を抜くなどして守備を突破する力には、世界の上位がもう1ランク上だと感じたとも話しています。
佐野海舟の先制点から逆転までを思い出しながら、監督の言葉を読んでいきます。
29分の佐野海舟から、1-2までの距離
先制したときは胸が弾んだのに、後半は日本が押し返されているように見えました。佐野海舟のゴールの喜びと、逆転された悔しさ。私には、どちらも残っています。
日本時間6月30日、現地では29日にヒューストンスタジアムで行われた、ワールドカップの決勝トーナメント1回戦(ラウンド32)。日本はブラジルに1-2で敗れました。日本の得点は29分。佐野が中盤で相手の横パスを奪い、そのまま中央をドリブルで進んで、ペナルティーエリアの手前から右足で決めたものでした。JFAの試合報告
私がうれしかったのは、ボールを奪ってからシュートまで、佐野が一続きでやり切ったことです。相手のパスを止めるだけでも、前へ運ぶだけでも終わらない。最後に自分の右足でゴールへ届けるところまで見せてくれた。ブラジルから先制した喜びに、そのプレー自体の気持ちよさも重なりました。
けれど、56分にカゼミーロのヘディングで同点に。さらに90+6分、ガブリエウ・マルティネッリに決められて逆転されました。JFAの試合報告、スポーティングニュース
先に点を取れたからといって、力が並んでいたとまでは思えません。あのゴールを見たからこそ、勝利への手応えを語る監督の言葉が、余計に気になるんです。
「勝てていた」と「1ランク上」を並べて読む
試合全体の手応えと、相手を抜き去る力の差は、同じ試合の中にあった。そう読むと、私は少し納得できます。ただ、その差がある相手にどう勝ち切るかは、まだ胸に引っかかります。
先ほどの「勝てていた」「あまり感じてない」と並べて読みたいのが、突破する力についてのこの評価です。
攻撃の選手の局面を突破する力は、世界のトップ基準はもう1ランク上の違いがあると感じました。
— 森保一(日本代表監督)、スポニチアネックス(2026年10月17日)
私が戸惑ったのは、差が小さいと聞いて、どのプレーでも互角だったように考えてしまったからかもしれません。勝利が見えることと、相手の突破に苦しむことが一緒に起こるなら、見ていた試合の印象ともつながります。
監督はこの違いを説明する際、ヴィニシウスに冨安健洋や佐野海舟が対応した場面を挙げていました。スポニチアネックス
その話から私が感じるのは、相手が仕掛ける一瞬の怖さです。一人がかわされると、その周りの守り方まで変えられてしまいそうで、見ている側も落ち着かなくなる。ほんの一歩で状況が変わるかと思うと、私まで肩に力が入ってしまいます。
組織力への評価と、もっと前へ出たかった思い
相手の監督が、日本のまとまって戦う力を認めてくれたのはうれしいです。でも、両監督の言葉を読むほど、もっと前へ出る日本を見たかったという気持ちも戻ってきます。
ブラジルのカルロ・アンチェロッティ監督は、試合後に日本をこう評価しています。
É um time respeitável, muito bem organizado e perigoso. (訳)敬意を払うべき、とてもよく組織されていて危険なチームです。
— カルロ・アンチェロッティ(ブラジル代表監督)、ge(2026年6月29日)
まとまりに加えて、相手を脅かす力も感じてもらえた。そのことに、私はうれしくなります。
アンチェロッティ監督は、日本が中央への道をふさいでいたため、前半に狙った攻め方ができなかったと説明しています。そこでハーフタイムに変更し、後半はサイドからゴール前へボールを送るクロスを増やしたと話しました。ge
森保監督も、組織的に守った一方で、もっと一対一で相手に向き合う場面をつくって圧力をかければ、自分たちのゴールの近くまで押し下げられずに勝ち切れたかもしれないと振り返っています。スポーツ報知
監督自身も、ほかのやり方があったかもしれないと考えていたんだ、と少し驚きました。
一方、ブラジルの守備について森保監督は、日本がボールを奪った後、ブラジルに奪い返される場面を何度も見たと話しています。相手に速さを出させず、次のプレーを選ぶ余地を与えない賢さを感じたとも説明していました。スポニチアネックス
その評価を読むと、前へ出たいと思うだけでは届かない難しさも感じて、もどかしくなります。
11月14日、前へ運ぶ一歩を楽しみに
ボールの周りで支え合う味方のつながりを表したイメージ。AI生成イラスト(実際の試合場面ではありません)。
次のブラジル戦では、日本が奪ったボールと、その周りの味方の動きを追いたいです。悔しかった一戦を振り返っていたら、次の試合で見たいものが少しはっきりしてきました。
日本は2026年11月14日、シンガポールナショナルスタジアムでブラジルと対戦する予定です。「MIZUHO BLUE CHALLENGE THE KALLANG FOOTBALL SERIES SINGAPORE」での一戦になります。JFA大会概要
まず気になるのは、ボールを奪った直後の最初のプレーです。そのまま前へ運べるのか、近くの味方へ渡して攻撃を続けるのか。奪えたことを喜んだ、その続きを見たいです。
次に目を向けたいのは、ブラジルが奪い返しに来たときの周りの動き。私はついボールを持つ選手ばかり追ってしまうので、パスを受けようと近づく味方や、前方へ走る味方も見ていたいと思います。ボールから少し目を離すと、攻撃を続けるための助け合いに気づけるかもしれません。
それから、日本が自分たちのゴール近くまで押し込まれた後、どうやって相手のゴールがある側へ戻っていくのかも気になります。29分の得点とは違う形も含めて、どんなプレーから日本が攻める時間をつくるのか。そのきっかけを楽しみにしています。
勝ってほしい気持ちは、もちろんあります。そして、あの先制点で胸が弾んだように、今度はどんなプレーに声が出るだろう、とも思うんです。ボールの行方と、そこへ関わる選手たちを追いながら迎える再戦。待つ楽しみが一つ増えました。