88分の石橋瀬凪――アジア大会U-21日本対ウズベキスタン、日韓決勝へつないだ同点弾
4試合無失点で迎えた準決勝、10分に追う展開となった日本。後半開始と62分の交代後には横山夢樹や大関友翔らが好機に絡み、延長ではポストを叩く一撃も生まれました。交代で動いた試合の表情と、苦しい120分をどう立て直し、10月3日の韓国戦へ何を持ち越したのかを振り返ります。
88分、小杉啓太が左から送ったクロスに、石橋瀬凪が頭で飛び込みました。敗退まで残りわずか。ようやく追いついたと思ったのに、私の胸のざわつきは少しも収まりません。試合は延長へ進み、それでも決着せず、PK戦では両チーム合わせて20人が蹴りました。
2026年9月30日、長居陸上競技場で行われたアジア競技大会男子準決勝。U-21日本代表は10分にウズベキスタンに先制され、88分に石橋のゴールで1-1としました。延長を終えてもスコアは動かず、PK戦を9-8で制して決勝進出です。
追いついた安堵と、次の一本を待つ怖さが、こんなに長く同居する試合もあるんだなと思いました。石橋が飛び込んだ一瞬から、息をつめたPK戦の最後まで。まずは、苦しかった前半から順に振り返ります。
10分の初失点、前半に見つからなかった出口
準々決勝から先発11人を全員入れ替えた日本は、10分に今大会初めての失点を喫しました。ボールを持つ時間はあっても、どこから前へ進めばいいのか、その出口を見つけにくそうに私には映った前半でした。
準々決勝に先発した11人は、この準決勝では全員ベンチからのスタート。GKも荒木琉偉からピサノ アレクサンドレ幸冬堀尾へ替わり、小杉啓太や石渡ネルソン、道脇豊、石橋瀬凪らが先発しました。どうしてこの11人だったのかは、私には分かりません。理由を想像で決めつけず、ピッチで起きたことを見ていきます。
日本はグループステージを2-0、7-0、3-0で終え、準々決勝も1-0。4試合を無失点で進んできました。ところが準決勝では、10分にウズベキスタンが先制。今大会5試合目で、初めて追いかける側になりました。
そのあとの日本は、ボールを持っても前へ運ぶ速さがなかなか整わず、選手同士の動きも少しずつずれているように感じました。失点後にいったん落ち着きたくても、その場所をウズベキスタンに見つけさせてもらえない。これまでの4試合とは違う難しさが、前半からはっきり表れていました。
그러나 대규모 변화가 오히려 경기 초반 조직력에 영향을 준 듯했다. 우즈베키스탄은 일본의 빈틈을 놓치지 않았다. (訳)しかし、大幅な変更がむしろ試合序盤の連係に影響したようだった。ウズベキスタンは日本の隙を逃さなかった。
— SPOTV NEWS(2026年9月30日)
11人を替えたことだけで前半の苦戦を説明するのは違うと思います。それでも、「連係」、つまり互いの動きがかみ合う部分に難しさがあったという見方には、私もうなずきました。
この試合は、苦しかった前半を踏まえて後半まで見ると、終盤の一得点がどれほど重かったのかが見えてきます。人を替えながら少しずつゴールへ近づいていく時間に、私の心も大きく動きました。
交代で押し返し、小杉啓太から石橋瀬凪へ
後半は、選手交代を境に日本の攻撃の表情が変わったように感じました。すぐに同点とはいかなかったものの、横山夢樹、大関友翔、石橋瀬凪が続けてゴールへ迫り、前半には見えにくかった道が少しずつ開いていきます。
日本は後半開始から、古谷柊介に代えて横山を投入しました。60分、その横山が左から中央へ入り込んでシュート。相手GKに止められましたが、続くコーナーキックからは道脇豊が頭で狙いました。ここもGKに阻まれたものの、日本が相手ゴールの近くでプレーする時間は増えているように見えました。
62分には保田堅心、石井久継、道脇を下げ、大関、嶋本悠大、ンワディケ ウチェブライアン世雄を同時に投入します。65分には大関からボールを受けた石橋がゴール前へ入り、シュートまで持ち込みました。しかし、また相手GKに止められます。
交代で入った選手が次々とボールに関わり、ゴールへ近づいている感覚はありました。それでも、シュートは相手GKや守備陣に何度も止められます。期待が膨らむほど、残り時間だけが減っていく怖さも強くなりました。
その時間を終わらせたのが88分です。小杉啓太が高い位置まで出て、左からクロスを送りました。私にはためらいがないように見えたそのボールへ、石橋が飛び込んで頭で合わせ、1-1。残りわずかな場面で、二人の動きがぴたりと重なりました。
石橋は苦しかった前半から先発で出続け、65分の好機も相手GKに阻まれていました。それでも次の一球へ向かい、同点ゴールのあとも延長前半の105+1分に中島洋太朗と交代するまでプレーしています。私はその姿に、派手さとは少し違う粘りを感じました。きれいなヘディングだけでなく、届かなかった時間を重ねた末の一得点だったからこそ、胸が熱くなったのだと思います。
延長の二つの好機と、10人目まで続いたPK戦
延長では、大関友翔と嶋本悠大に試合を決める好機がありました。それでもゴールは生まれず、勝負はPK戦へ。最後はウズベキスタンのシュートがクロスバーを叩き、長かった試合が終わりました。
外したあとも仲間がつないで前へ進む気持ちを表したイメージ。AI生成イラスト(実際の試合場面ではありません)。
延長前半、大関が放ったシュートはポストを直撃します。ゴールの枠に当たった音を聞いた瞬間、入ったかと思って思わず体が動きました。でも、ボールは内側へ転がってくれません。
そのあとには、梅木怜のクロスに嶋本が合わせます。嶋本が狙ったのは、落ちてくるボールを地面につく前に蹴るボレーシュート。これも得点になりそうな場面でしたが、相手GKの正面へ飛びました。
終盤に追いついたあとの二つの好機だっただけに、どちらも入らなかったもどかしさは大きかったです。それでも、同点にするだけで力を使い切ったようには見えませんでした。延長に入っても前へ進み、もう一点を取りにいく姿に、私は少し救われました。
120分で決着がつかず、PK戦は日本の先攻で始まります。ウズベキスタンの2人目が失敗した一方、日本も4人目のンワディケ ウチェブライアン世雄が決められませんでした。両チームが5人ずつ蹴った時点で4-4。そこからも勝負は終わらず、両チームとも10人目まで続きました。
日本の10人目は小杉啓太。小杉が成功すると、続くウズベキスタンの10人目クヴォンチベク・フシュヴァクトフのシュートはクロスバー、つまりゴール上側の横棒に当たります。PK戦は9-8。日本の決勝進出が決まりました。
この勝ち方は、誰か一人の手柄ではないなと思いました。失敗のあとも次の選手がボールを置き、一人ずつ役目を渡していった時間そのものが、この勝利の形だったように感じます。決着が何度も近づいては遠のいたからこそ、最後にボールが枠から跳ね返った瞬間、安堵が一気に押し寄せました。
3大会連続の日韓決勝へ、過去ではなく10月3日を見る
決勝は10月3日19時30分、豊田スタジアムで行われます。相手は韓国です。日本は過去2大会の決勝でも同じ相手と戦いました。今回は、ウズベキスタン戦で見せた、苦しい状況から立て直す力を決勝でも見届けたいです。
韓国は準決勝で中国に先制されながら、2-1で逆転勝ちしました。これでアジア競技大会男子サッカーの決勝は、3大会続けて日本対韓国となります。
2018年大会では、日本が延長の末に1-2で敗戦。2023年に行われた杭州大会でも、先制したあとに逆転を許して1-2で敗れ、2大会連続の銀メダルとなりました。同じカードが続くだけに、悔しい記憶がよみがえるのは自然なことだと思います。
大岩剛監督はウズベキスタン戦後、韓国との決勝へ向けてこう話しました。
悔しい思いをしっかりとぶつけたい
— 大岩剛監督、ゲキサカ(2026年9月30日)
私はその一言に、悔しさを抱えたまま、それでも決勝へ目を向けている気持ちを感じました。
準決勝から決勝までは中2日です。韓国も中国に先制されながら逆転しており、どちらも苦しい試合をひっくり返して豊田へ向かいます。日本がウズベキスタン戦の120分で見せた落ち着きや助け合いを、限られた時間でどう整えてくるのか。私はそこに注目しています。
日韓戦という言葉には、それだけで空気を張りつめさせる大きさがあります。でも私がいちばん見たいのは、看板の大きさに負けないことよりも、このチームが苦しい時間に何を選び、どう助け合うのかです。前半に出口が見つからなかった夜を、それでも決勝までつないだ選手たち。その続きを豊田で見られることが、今は素直に楽しみです。